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現代編集論

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編集の新しい可能性を深化、探索における思索をまとめていきます。
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記事一覧

分散するチャネルと、コンテンツのアーカイブ

最近、検索エンジン経由の流入が減少しているよねという雑談をする機会も増えました。従来の検索ニーズの一部が、AI検索サービスに移っているのだろうという話とセットで。 実際に、自分の行動を振り返ってみるとGoogleの検索窓にキーワードを打ち込まず、PerplexityやGensparkなどAI検索サービスや、ChatGPT searchなどを使う場面が大幅に増えました。 AI検索を使う人の数が増えるにはまだ時間はかかるだろうと考えられますが、一定の割合が検索エンジンから代替

メディア間でのコンテンツ売買

文化通信社が、新聞社や出版社などのメディア企業がコンテンツを相互に売買できるプラットフォーム「MediaLink(メディアリンク)」を2024年11月29日に開設しました。 このクローズドサイトでは、全国の新聞、雑誌、書籍、地域紙、情報誌、Webメディアなどのコンテンツを有料で相互に利活用でき、文化、歴史、芸能、人物、食、旅など、長期的に読まれる内容が対象となっています。 せっかく各メディアがつくったコンテンツがより多くの人に伝わるようになることは歓迎したいこと。また、こ

AIに原稿のたたき台をつくってもらう練習

キャリア学習サイト「talentbook」を運営するtalentbook株式会社が2024年12月2日に「社員インタビューAI」をリリースしました。 採用広報を強化していきたい企業から、社内のリソース・ノウハウが不足している、広報予算が潤沢にない、といった課題が寄せられていたそうです。 それに応えるために開発したのが、インタビュースキルと記事執筆スキルを搭載した独自AI機能です。少し、テストを体験させてもらったのですが、インタビューもライティングも、想定していた以上の体験

社会教育と探究学習

インクワイアでは、「探究」を組織としても関わる個人としても大切にしていて、しばしば「探究学習」などから活動のヒントをもらっています。 探究学習とは、生徒が自ら問いを立てて、それに対して答えていく学習のこと。自分自身で問いを立てて、その答えを出したいという「探究心」を大切にして、学習を進めていく方法です。 2022年から「総合的な学習の時間」が、「総合的な探究の時間」に名称変更され、高校では探究学習がスタートしています。それもあってか、学校教育の場において探究学習への取り組

メディアとの関係性を育てる

事業やプロダクトを立ち上げたタイミングで、どうしたらメディアに取り上げてもらえるかという相談に乗ることがあります。仕事ではない範囲で、できるだけ力になれたらと思って、メディアの仕事をしてきた自分の経験から共有できる知見はお伝えしているのですが、おおよそ以下のようなことに集約されます。 メディア側には取り上げるタイミングや理由が必要で、取り上げてもらいたい側の論理だけではなく、相手の論理にも配慮すること。 メディアの文脈や領域を意識する。メディアの文脈と、事業やプロダクトの

ライティングに影響する要素仮説

「ライティング」と一口にいっても、イメージすることや捉え方は人によって異なることも珍しくありません。 そのため、ライティングについて教えようとする際、どこを基準にどのようなことまで、どう伝えるかということに頭を悩ませます。 今後、なんらかの形でライティングの技術や思考についてまとめていきたいと考えていて、どのように要素を整理しようかともやもやと考えています。 要素を分解してみながら考えていて、現状以下のように分解できるのではないかと。 姿勢 思考 文章以外の技術

問いや気付きを発酵させる

この週末開催されていた早稲田大学文化構想学部発酵メディア研究ゼミの展示「Re:ing Re:ing展」に行ってきました。 展示のコンセプトから作品の中身まで、ゼミ生たちが考え、話し、試行錯誤しながらつくったそうです。問いや表現手段なども合わせて、見ていて楽しい展示でした。 担当教員であるドミニク・チェンさんがDISTANCEに寄せていた内容によれば、この展示の内容を考えるにあたり、ゼミ生のみなさんはジャーナルを書き続け、そこから研究や制作の問いを発酵させたそうです。 今

人と人をつなぐ場の価値

株式会社⽇建設計と株式会社Zebras and Companyによる、共創型社会環境デザインプログラム『FUTURE LENS(フューチャーレンズ)』がスタートしました。 Facebookの投稿で知りましたが、両社のキーパーソンを偶然紹介できたのがきっかけになっていたそうです。インクワイアが主催していたデザインフェスティバル「Featured Projects」で見かけた際に、おつなぎしました。 その後、上記のプログラムとして形になっていく過程には全く関わっていませんが、

「メディアコンピテンシー」の重要性

マスメディアの発信する情報への信頼が低下しているという言及が増えてきました。とはいえ、SNSで発信される情報が信頼できるかというと、見極める難易度は非常に高い。 こうした情報環境のなか、デジタルから離れて仕事や生活をすることも難しくなっていて、共存のためにデジタルの適切な利用の方法「メディアコンピテンシー」を身に着けていく必要があります。 「メディアコンピテンシー」は、情報やメディアを効果的に利用し、理解し、評価する能力を指します。この概念は、デジタル時代において重要性が

課題解決と双方向性を取り入れた企業の情報発信

サステナビリティ経営やパーパス経営といった経営のあり方が注目されるようにもなっているなかで、企業自らが情報発信する重要性はますます高まっています。 特に、社会課題への取り組みや持続可能性に関する発信は、企業の存在意義(パーパス)を社会に伝える手段としても重要であり、こうした発信を行ううえでは「ブランドジャーナリズム」のような活動も注目です。 ブランドジャーナリズムは、ブランドや企業が自らジャーナリズム(報道活動)の視点を持って自社メディアで情報を展開し、認知度を高めていく

特定多数向けに信頼できる情報を集約する場

以前、インターネット情報をさがすためには、まずいろいろな情報が集約されるポータルサイトにアクセスし、そこから閲覧していくのが効率よい手段でした。 その後、RSSやメールマガジン、検索エンジンやSNS、特化型のウェブサービスなどの登場により、効率のよい情報収集の手段は変化していき、近年はSNSが主流だったように思います。 ただ、SNSのアルゴリズムはだんだんと変化し、特段みたくない情報ばかりがレコメンドされる「おすすめ」への誘導が強くなり、流通する情報も虚偽のものも多く、誰

「聴く」を習う

「聴き方」って、どこかで習うようなことではないですよね。けれど、「聴く」というのは日常のあちこちで行うことであり、他者にも影響を与えるもの。 国立成育医療研究センターが10月31日に発表した内容によると、保護者や教員が声を聴いてくれていると子ども自身が感じていると、生活の質(QOL)が高くなることが分かったそうです。 それくらい「聴いてもらえている」と相手が感じることは、相手の状態に影響を与えるんですよね。これは子どもを対象にしたものだけでなく、大人を対象にしたインタビュ

書籍『メタフィジカルデザイン つくりながら哲学する』

問いとアイデアの総合商社、セオ商事の代表であり、哲学カルチャーマガジン『ニューQ』編集長の瀬尾浩二郎さんの著書『メタフィジカルデザイン つくりながら哲学する』を読みました。 書籍のタイトルにもなっている「メタフィジカルデザイン」とは、ニューQで提唱してきたデザインと哲学を横断する試みのこと。本書では、その概念に至るまでの過程を丁寧に説明されていた印象です。 瀬尾さんは、哲学するための手法として「問い」と「概念工学」の2つを紹介しています。手法の解説に加え、実際にワークを行

AI検索サービスに対応するコンテンツづくり「コンテンツAIO」を考える

「Perplexity」や「Genspark」など、AI検索サービスが登場して、利用する人も増えてます。つい最近、GoogleやOpen AIなどもAI検索に対応するサービスのリリースを発表しており、よりこの流れは強くなりそうです。 すでにページへのトラフィックにAI検索サービス経由が増えているというケースも登場しており、SEOならぬAIO(AI最適化)という言葉も登場しています。 SEOはコンテンツづくりにおいても重要なテーマで、コンテンツSEOというのはWebでコンテ