マガジンのカバー画像

コンテンツ感想ログ

25
本、映画、アニメ、マンガなどの覚書。体験したもののメモのようなものです。
運営しているクリエイター

記事一覧

「真実」という不確かなもの

2023年のカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した映画『落下の解剖学』を観ました。あらすじはこんな感じの作品。 前情報ほとんどなしで観に行ったのですが、最後まで飽きることなく作品に惹き込まれていました。 人は世界をそのまま認識できるわけではないので、「真実」とはなにかを明確にするのは非常に困難ですよね。事象があり、その事象をどう観測したか、それをどう解釈したか、どう記憶したか、解釈や記憶を他者にどう伝えたか。同じ事象に触れたとしても、解釈や記憶が異なっていることがほと

哲学、パラドックス、システムを思考する

日本で哲学コンサルティングを提供しているクロス・フィロソフィーズ株式会社代表の著者による『哲学思考』を読みました。 以前の『哲学シンキング』と比べると、より哲学をビジネスにどう活きるのかに焦点をあてた内容でした。 『哲学思考』では、非合理なことも視野に入れた上で「なぜ」を問うこと、倫理的にジレンマが生じる場面で「どうすべきか」を問うことなど、ビジネスにおいて重要度が増している事象に対して、哲学的に思考することが有用であると述べられています。 個人的には以下の内容は共感で

忘れないために文章を書く

松浦弥太郎さんの著書『エッセイストのように生きる』を読みました。 同書の中では、「エッセイとはパーソナルな心の様子を描いた文章であり、エッセイを書くことは生きる指針を作ることであり、一つの生き方の提唱でもある」としています。 個人的に一番、心に残ったのは「忘れたくないことがあるから」という松浦さんの書く理由です。毎日、毎時、なにかを感じ、考えながら過ごしているはず。それを書き留めておかなければ、すぐに忘れていってしまいます。 忘れないために、自分の考えたこと、感じたこと

「ソーシャル・イントラプレナー」、社会課題の解決を社内起業家の存在

社内で新規事業を生み出すイントラプレナー(社内起業家)の存在は様々な企業で求められるようになっています。 ソーシャルスタートアップや、インパクト投資、SDGsなど事業成長だけでなく、社会課題の解決も求められるようになっているなか、イントラプレナーのあり方も変わろうとしているようです。 書籍『ソーシャル・イントラプレナー』で紹介されているのは、その名の通り社会課題の解決と事業成長の両立を目指す社内起業家に必要な考え方や実践例でした。 ソーシャル・イントラプレナーの登場同書

起業を促すプラットフォームとしてのグループ会社経営

社会問題を解決するビジネス(ソーシャルビジネス)しかやらない会社として知られるボーダレスグループの創業者である田口さんの著書を読みました。 グループとしてどのように連続的にソーシャルビジネスを立ち上げ、全体で利益を循環させているかというスキームが非常に興味深かったです。 スタートアップスタジオで事業立ち上げを支援する仕組みは有名ですが、ボーダレスグループでは黒字化したあとの経営フェーズにおける業務を支援するバックアップスタジオもセットにしているというのは参考になりました。

人は”人”にお金を払う

『ばらかもん』という漫画が好きで、新刊が発売されるのを楽しみに待っている。”ばらかもん”とは、五島列島方言で「元気者」という意味だそうだ。 『ばらかもん』は、有名書道家の息子である主人公が、自分なりの書道を見つけるべく、東京から遠く離れた島で生活するところから始まる。 自然からインスピレーションを受けて作品を書く様や、島の人たちと交流することで人間的に成長する姿が描かれている作品だ。 魅力的なキャラクターが数多く登場するので、楽しく読んでいくことができるのだけれど、見逃

「1440分」を生産的に過ごせるか

1日は、1440分なのだそうだ。 60分×24。これを多いと感じるか、少ないと感じるかは人によって分かれるだろうけれど。 僕は、短いと感じた。時間を細かい単位に砕いてみると、時間に対する意識を強く持てたりする。 1440分のうち、睡眠時間が3分の1だとしたら、480分は睡眠時間だ。1日の過ごし方は、残りの960分をどう過ごすかでしかない。 生産性を上げ、濃い時間を過ごすことができれば、他者と同じ時間を過ごしているとしても、大きな変化をもたらせるかもしれない。 『エッ

映画のようなゲーム。ゲームのような映画。

2038年、世界はどうなっているだろう。 ちょうど今から20年後だ。 20年前の1998年はどんな社会だっただろう。 Wikipediaを調べてみると、CDがバブルだったり、ビデオカセットや写真フィルムが史上最多だったみたいだ。今では考えられない。 とすれば、20年後は今からでは想像もつかない世界になっていたとしてもおかしくはない。 『Detroit Become Human』は、そんな2038年のデトロイトを舞台にしたゲームだ。作品でのデトロイトは、人工知能やロボ

自分の「最高」を目指すための目標設定の考え方

年末年始にスポーツ心理学博士の布施 努さんの著書を読みました。目標設定についてや、自身の成長に関する考え方がかなりわかりやすくまとまっていたのでメモ。アスリートに関する話ですが、ほとんどそのまま仕事に当てはめられます。 自分がコントロールできるのは自分だけ。目標を立てるときは理想像と現在のギャップを明らかにし、何がどれだけ必要化を明確にしてやらなければならないことに取り組む縦型×逆算で。 横型比較思考で他者と比べながら、自分の不足部分を足し算しながらで目標を設定すると諦め

「パラサイト 半地下の家族」を観て

「パラサイト 半地下の家族」を観た。カンヌ国際映画祭での最高賞パルムドールに続き、ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞したと話題の映画だ。SNS等でも「面白い」という反響が多く投稿されていて気になった。 評判どおりの受け取り方はできなかったものの、色々と考えさせられる点があったので、感想を書いておこうと思う。以下、ネタバレも含むので観ていない方はここまでにしてもらえたら。 作品は、半地下の住宅に暮らす貧しいキム一家が、高台の豪邸に住む裕福なパク一家にパラサイトするという

『本を読めなくなった人のための読書論』

読んだ感想本を読むのにも調子がある。調子の良いとき、悪いとき、悪いときに無理に読もうとしてもなかなかページをめくる手が重たい。振り返ると2019年は、読書の調子が悪かった。 理由はいろいろあるけれど、要因の一つには単に知識のインプットとして読書を捉える動きが自身の中で強くなっていたのだと思う。読書がもたらす効用はそれだけではないはずだ。 言葉を味わい、著者と対話し、自身の感情に向き合う。新たな知識にふれる以外の価値が読書にはある。そんなことを再確認できた。 どんな本

穏やかな会社「カームカンパニー」というコンセプト

『小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード』や『強いチームはオフィスを捨てる』など、時代の先を行くコンセプトを提唱してきたユニークな会社Basecamp。僕は彼らが提唱するコンセプトに惹かれてきた。 同社はプロジェクト管理ツールを開発しており、50人ほどの規模で世界に10万社以上が利用するプロダクトを提供している。チームは世界各地に散らばっていて、一箇所にまとまっていない。 2019年、彼らが主張するのは「穏やか」に働くというものだ。新しい書籍の中で提唱したの

『ビジネス・フォー・パンクス』

どんな本?創業から7年で売上70億円を超える急成長を遂げたスコットランド発祥のクラフトビールブランド「BrewDog」創業者による書籍。「マーケティング」と書かれているけれど、内容はマーケティング以外にも及ぶ。 「始めるのはビジネスじゃない。革命戦争だ」 「キャッシュこそ絶対王者だ」 「予算はゼロでも問題ない」 「企業文化で3分の1が決まる」 などなど、ビジネスを行う人間であれば覚えておきたいメッセージが盛りだくさん。どうせなら、これくらい使命をもって熱狂してビジネス

『サーチ・インサイド・ユアセルフ――仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』

どんな本?Googleで開発され、世界の有力企業が続々と導入しているというマインドフルネスの実践プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ」の内容を開発者自らが語った書籍。 マインドフルネスの実践にあたってのポイントが紹介されている。ところどころ差し込まれている著者によるジョークから、著者の性格が伺えて面白い。 読んだ理由創造性、関係構築、自己認識、ストレス軽減などをどうチームに取り入れるかを考え、手にとった。実際に組織のフェーズが変わってから読んだことで、中身が自分