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現代編集論

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編集の新しい可能性を深化、探索における思索をまとめていきます。
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#メディア

コーポラティブなメディア展開を探る

2025年2月18日に発売の『Web Designing』4月号「デザインとストーリー」特集にて、インクワイアが運営するdesigningが企画協力しました。BCG X 花城さん、Algomatic 國光さんとの鼎談記事にも同媒体の編集長である小山さんが出演しています。 デザインというドメインを盛り上げていくために、今回の取組のようにメディア同士が連携するという動きは非常に重要だと考えています。『Web Designing』には貴重な機会にお声がけいただき、大変ありがたく思

メディアの透明性や信頼性を国際基準で証明する「ジャーナリズム・トラスト・イニシアティブ」

株式会社メディアジーンが運営するビジネスニュースメディア『ビジネス インサイダー ジャパン』が、メディアの透明性や信頼性を国際基準で証明するジャーナリズム・トラスト・イニシアティブ(JTI)の認証を取得しました。 JTIとは、国際的な報道の自由を擁護する団体である「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」が中心となって2018年に発足した取り組み。近年、世界中でフェイクニュースや誤情報が拡散し、信頼性の高い情報を見極めることが難しくなっているな

分散するチャネルと、コンテンツのアーカイブ

最近、検索エンジン経由の流入が減少しているよねという雑談をする機会も増えました。従来の検索ニーズの一部が、AI検索サービスに移っているのだろうという話とセットで。 実際に、自分の行動を振り返ってみるとGoogleの検索窓にキーワードを打ち込まず、PerplexityやGensparkなどAI検索サービスや、ChatGPT searchなどを使う場面が大幅に増えました。 AI検索を使う人の数が増えるにはまだ時間はかかるだろうと考えられますが、一定の割合が検索エンジンから代替

メディア間でのコンテンツ売買

文化通信社が、新聞社や出版社などのメディア企業がコンテンツを相互に売買できるプラットフォーム「MediaLink(メディアリンク)」を2024年11月29日に開設しました。 このクローズドサイトでは、全国の新聞、雑誌、書籍、地域紙、情報誌、Webメディアなどのコンテンツを有料で相互に利活用でき、文化、歴史、芸能、人物、食、旅など、長期的に読まれる内容が対象となっています。 せっかく各メディアがつくったコンテンツがより多くの人に伝わるようになることは歓迎したいこと。また、こ

社会教育と探究学習

インクワイアでは、「探究」を組織としても関わる個人としても大切にしていて、しばしば「探究学習」などから活動のヒントをもらっています。 探究学習とは、生徒が自ら問いを立てて、それに対して答えていく学習のこと。自分自身で問いを立てて、その答えを出したいという「探究心」を大切にして、学習を進めていく方法です。 2022年から「総合的な学習の時間」が、「総合的な探究の時間」に名称変更され、高校では探究学習がスタートしています。それもあってか、学校教育の場において探究学習への取り組

メディアとの関係性を育てる

事業やプロダクトを立ち上げたタイミングで、どうしたらメディアに取り上げてもらえるかという相談に乗ることがあります。仕事ではない範囲で、できるだけ力になれたらと思って、メディアの仕事をしてきた自分の経験から共有できる知見はお伝えしているのですが、おおよそ以下のようなことに集約されます。 メディア側には取り上げるタイミングや理由が必要で、取り上げてもらいたい側の論理だけではなく、相手の論理にも配慮すること。 メディアの文脈や領域を意識する。メディアの文脈と、事業やプロダクトの

問いや気付きを発酵させる

この週末開催されていた早稲田大学文化構想学部発酵メディア研究ゼミの展示「Re:ing Re:ing展」に行ってきました。 展示のコンセプトから作品の中身まで、ゼミ生たちが考え、話し、試行錯誤しながらつくったそうです。問いや表現手段なども合わせて、見ていて楽しい展示でした。 担当教員であるドミニク・チェンさんがDISTANCEに寄せていた内容によれば、この展示の内容を考えるにあたり、ゼミ生のみなさんはジャーナルを書き続け、そこから研究や制作の問いを発酵させたそうです。 今

特定多数向けに信頼できる情報を集約する場

以前、インターネット情報をさがすためには、まずいろいろな情報が集約されるポータルサイトにアクセスし、そこから閲覧していくのが効率よい手段でした。 その後、RSSやメールマガジン、検索エンジンやSNS、特化型のウェブサービスなどの登場により、効率のよい情報収集の手段は変化していき、近年はSNSが主流だったように思います。 ただ、SNSのアルゴリズムはだんだんと変化し、特段みたくない情報ばかりがレコメンドされる「おすすめ」への誘導が強くなり、流通する情報も虚偽のものも多く、誰

ニッチかつインディペンデントなメディアの役割

ニッチなメディア、コミュニティのメディアがどのような役割を果たせるかということについてしばしば考えます。最近の仮説は、以下のような役割を担えるといいのではないかというもの。 コミュニティの経験や知識、物語を集める コミュニティから得られたものをアーカイブする アーカイブされた内容をキュレーションし、企画を立てる 企画を通じて対話を促す こちらのコミュニティ・アーカイブとメディアの役割について書いたブログから、大きく変わっていませんが、少しだけ更新しました。 インデ

「メディア・スタートアップ」を学ぶ

メディアをつくり、運営するためには、様々な知識や経験が必要になります。とても刺激的で、創造的な営みですが、イチからスタートアップとして始めるうえで必要な経験を積める機会は多くありません。メディアをつくろうとしている人は、いい機会があれば是非積極的に参加してみるのがいいと考えています。 同志社大学で開講される、学生の起業を促すメディア・スタートアップは、自分が学生で受講資格があればぜひ受けたかった講座。同志社大学商学部が同志社東京メディアクローバー会と連携し、新メディアのビジ

想いを持ったメディアが持続する生態系をつくりたい

私が代表を務めるインクワイアでは、さまざまな「メディア」にカテゴライズされる仕事をしています。その仕事を大きく分類すると以下のようになります。 自社メディア事業 事業会社のメディア支援 メディアのビジネスモデルも多様化しており、多様な事業を営む企業がなにかしらの形でメディアを運営するようになっています。この両方に関わることでメディアと事業に対する知見を蓄積していこうと取り組んでいます。 メディアは、持続することが前提の取り組みです。一時的な活動で効果がないわけではあり

安心して記事を読めるメディアを目指して

ブログメディア「Publickey」の運営に関する発信は、メディアを運営する人間として、ずっと勇気と刺激をもらっています。直近のPublickeyの広告掲載について説明したエントリもそのひとつ。 メディアの運営と広告は密接に関係しています。メディアの収入を伸ばすために、広告を掲載して、それが読者の体験を損ねているケースも、けして珍しいものではありません。 読者の体験を損ねる広告を掲載していても、読者にとっても、広告主にとっても、メディアにとっても、良いことにはならないはず

テキストメディアの苦境を乗り越えるために:狭く、深く、質を求める

メディア運営を重ねるなかで、2023年はいろいろと変化がありました。「想いを持ったメディアを持続的なものにしたい」というのが個人のテーマでもあり、簡単に現状と来年に向けての所感をまとめておこうと思います。 今年も閉鎖するメディアがいくつか2022年3月にTechCrunch Japan、エンガジェット日本版が終了するという知らせは界隈では大きな話題となりました。 今年に入ってもいくつかのメディアの運営終了が発表されました。今月では、サイゾーが運営する「wezzy」の更新終

メディアとデザインリサーチの掛け算

2023年5月27日に「SPREAD」をテーマに開催された「RESEARCH Conference 2023」の『デザイン・スルー・メディア』と題したセッションのレポートをinquire.jpに掲載しました。 メディアとリサーチの組み合わせについては以前から可能性を感じており、このセッション内で語られた考え方は共感しました。 メディアを用いることでリサーチに寄与できる部分は多々あると思います。それはアウトプットをつくるプロセスに光をあて、価値に変えるアプローチとも言えます