マガジンのカバー画像

インクワイアのナレッジシェア

38
インクワイアが活動を通じて学んだ知識を集約・共有し、「ナレッジシェア」を行うマガジン。
運営しているクリエイター

記事一覧

執筆の工程分解と時間見積の考え方

人には過去に計画どおりに進まずに失敗した経験が繰り返し起きても新たな計画を立てる際に楽観的な予測をする「計画錯誤」や、特に根拠がないにもかかわらず大丈夫だと考える「楽観性バイアス」といった認知のバイアスが働きます。 1本の原稿を書き上げるというタスクにおいては、こうしたバイアスが他のタスク以上に働きやすく、作業時間の見積がブレやすいと考えています。作業時間の見積ができなければ、設定された〆切に間に合うかどうかを検討することもできません。 時折、1本の原稿を書くのみであれば

記事のタイトルやリード文を考えるステップ

コピーライティングを考える際は、「what to say」(何を伝えるか)を考えてから「how to say」(どう伝えるか)を考えましょう、という話はよく耳にします。これはなにもコピーに限った話ではありません。 記事コンテンツはたいてい、タイトルとリード文、本文から構成されます。本文を読んでもらうための読者との接点であり、中身に関心を持ってもらうためのパッケージがタイトルであり、リード文です。 しばしば、タイトルやリード文を考えようとして筆が止まってしまっている光景を見

二人一組で執筆する「ペアライティング」のすすめ

プログラミングの世界には、「ペアプログラミング」という方法が存在します。これは、2人の開発者が一緒にプログラミングしながら開発や改善を行うというもの。 ペアプログラミングのように、ライティングをペアで行う「ペアライティング」という方法も存在します。端的な説明は、文章を一人で別々に書くのではなく、二人一組で書くというもの。 UXライティングやコンテンツデザインの世界では、ペアライティングの方法について語られることがしばしばありますが、UXライティングでなくとも有用だと考えて

コンテンツづくりを始める前に「コンテンツブリーフ」で要件を定義する

オウンドメディアを運営する、採用コンテンツをつくる、事例コンテンツをつくるなど、企業にとってコンテンツをつくるニーズは多々あります。 コンテンツは多くの人が見たことがあり、「コンテンツをつくろう!」とすると、イメージができているように思いやすいもの。 一方で、複数の関係者とともにコンテンツづくりを進めていく際には、コンテンツをつくる上での様々な条件を確認することが欠かせません。 例えば、広告やマーケティングなどでは制作物を作成する前に「クリエイティブブリーフ(Creat

コンテンツづくりにおける品質・コスト・納期の「QCD」を考える

コンテンツメイキングでは、より良いコンテンツを、納得できる単価で、希望する納期までに届けることが求められます。これらの要素は、相互に関係して成り立っています。 製造業では、これらのバランスを考えることをQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字をとって「QCD」と表現されます。これらをすべて達成することは難しく、コンテンツをつくる際はこれらのバランスや優先順位を考えながら取り組む必要があります。 例えば、Quality(品質)を優先すると

コンテンツメイキングの工程を分解してみる

ありがたいことに、コンテンツづくりのご相談をいただく機会が多々あります。進行する際は、工程をできるだけ細かめに共有しつつ、今どの工程を進めているのか、次にどこを進めるのかを目線合わせをしています。 工程の一部が認識されていることはあれど、全体像が共有できていることは稀です。そのため、この工程についての考え方を共有する機会もあるのですが、良い機会なので簡単にまとめてみました。 コンテンツメイキングの工程順番を考慮しつつ、コンテンツづくりのステップを分解してみると、以下のよう

コンテンツづくりの変数を捉えて成長のための課題を設定する

製造業においては、「QCD」と呼ばれる大事な要素が存在します。QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を並べたもの。 4年以上前ですが、ferretにこんな記事を書きました。メディア運営やコンテンツ開発も、製造に関するナレッジから学べることが多々あります。 コンテンツ開発の変数QCDというわけではありませんが、コンテンツ開発のスキルを分解する際に以下のように分けられます。 質=Quality 速さ=Speed 量=Qu

メディアとデザインリサーチの掛け算

2023年5月27日に「SPREAD」をテーマに開催された「RESEARCH Conference 2023」の『デザイン・スルー・メディア』と題したセッションのレポートをinquire.jpに掲載しました。 メディアとリサーチの組み合わせについては以前から可能性を感じており、このセッション内で語られた考え方は共感しました。 メディアを用いることでリサーチに寄与できる部分は多々あると思います。それはアウトプットをつくるプロセスに光をあて、価値に変えるアプローチとも言えます

オフラインとオンラインを混ぜてイベントを編集する

GW、みなさんはいかがでした?鉄道も飛行機もコロナ前の混雑具合に戻ったようですね。 WHOもコロナの緊急事態宣言の終了を発表しており、名実共にアフターコロナへと突入していきそうです。 GW前から、少しずつオフラインのイベントや新しいスペースのオープンの知らせが届くようになってきています。 実際に足を運んでみると、オフラインだからこその情報量や偶然性などを発見する機会も多く、しばらくオフラインへの揺り戻しが発生しそうです。 場を編集することについては4年ほど前にもnot

企業における知の編集

インクワイアは、自分たちでメディアをつくって運営する活動と、企業のニーズに合わせてオウンドメディアの設計や立ち上げ、運営伴走を仕事にしています。 メディアは継続して運営し、改善を重ねていくことが重要なのですが、そのためには重要なポイントに集中できるよう、体制やワークフロー、ガイドラインなど、様々な要素の整理が大切になります。 継続のために最も重要なのが、発信するためのネタな尽きないこと。自社の実践からの学びや、手がけたリリースの背景、業界や産業の未来に対する見通しなど、様

「IRマガジン」はnoteのマガジン機能を活用したコーポラティブなメディア実践

株式会社ツクルバが発案し、note株式会社と共にnote上に「IRマガジン」を立ち上げました。今後、noteが中心となってIRマガジンの運営を行っていくそうです。 従来のIR活動では決算情報等の適時開示や説明会の開催といった活動が中心でした。個人投資家を増やしていこうという政策の流れも受け、より伝わりやすく、情報を届けるため、noteを活用したIR情報発信を行う企業が増加。 とはいえ、投資に関心ある個人が一社一社のnoteを発見し、フォローするのは手間でもあります。また、

インクワイアで編集の可能性を探究する「editorial studies」を始めます

インクワイアにて、広がり続けるメディアや編集の可能性を探究し、その担い手として未来の創造に貢献する。そのためのヒントを探るオンラインイベント「editorial studies」を開催することになりました。 個人や法人のメディア化を筆頭に、メディアを取り巻く環境はここ数年でより大きく変化しています。そのなかで、情報や知識を媒介する「編集」が果たす役割は、一層大きくなっていくはず。 企業の中でも経営、事業、組織への貢献が求められるなど、これまでにないほどメディアや編集の射程

会社のドキュメンタリーと映像社内報

「ドキュメント」は記録や文献という意味であり、「ドキュメンタリー」は、事実の記録に基づいた表現物を指します。Netflixで配信されるドキュメンタリー作品を見ていると、表現方法についての更新も進んでいるようです。 個人的には、ドキュメンタリーの活用先についての可能性も関心があります。事実の記録に基づいて、表現を行うという点では会社の情報発信にも活かせるポイントがあるのではないか、と思うのです。 年末に、ヌーラボの橋本さんがこんなツイートをされていました。スマートフォンで映

メディアにとってカスタマーの「サクセス」とは何だろうか