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素早く行動しながらナレッジを残す
変化の激しい不確実性の高い環境では、思考よりも行動が尊重されます。まず、行動してみて、その結果から学習し、行動を修正してよりよい方向に向かっていく。
もちろん、思考が必要なくなるわけではありませんが、行動に重きを置く必要は増しています。行動によって、思考をブラッシュアップしていくことが大切。『仮説行動』も、それをどう実践するかが書かれた書籍でした。
どんどん行動を進めていく動きと、自律分散的な組織のカルチャーが合わさると、いろんなことが生み出されているが、そのプロセスがどのようなものだったか、そこから得られた学びはどのようなものだったかが、行動した当事者以外はなかなかアクセスできないものになりがちです。
採用ブランディングなどを目的としたコンテンツづくりをお手伝いすることもあります。そのときに「この取り組みがいいんじゃないか」という候補が挙がったとしても、実際にどんなものだったのかは当事者にヒアリングしにいかないと、残された資料等からはわからないこともあります。
残された資料もメンバー用の議事録や、議論した内容を記載したホワイトボードを撮影した写真などになっていて、後から見た人がキャッチアップしやすくまとまっていないんです。これは事業を前進させるという観点からは正しいこと。
個人的には、こうした組織のカルチャーや動き方において、どのようにナレッジが蓄積され、他のメンバーも学習できるようになるのかが関心テーマとなっています。
こうした環境でもナレッジにつながる情報が蓄積されやすいのは、書籍『GitLabに学ぶ世界最先端のリモート組織のつくりかた』などでも紹介されている「ドキュメンテーション文化」が根付いている場合でしょうか。
なんらかの形で企業の活動がアーカイブされていれば、後から加入するメンバーも過去の取り組みにアクセスしやすくなりますし、必要に応じて編集して外部向けの発信もやりやすくなります。
ボトムアップ的にドキュメントなどで残されるアーカイブだけでは不足する場合、社内をフィールドワークして残していく必要が出てきます。「会社を人類学」するというアプローチも考えられ、そうすることで言葉になっていない会社の知やらしさを掴みとれるかもしれません。
「会社を人類学する」ことにつちえは、以前、CULTIBASEで企画した対談も参考になるかもしれません。
ドキュメンテーション文化や、会社をフィールドワークすることによって生まれた情報をアーカイブしていくことは、「コミュニティ・アーカイブ」のようなものでもあると考えられます。
コミュニティ・アーカイブが豊かになっていけば、それを活かしてコンテンツにし、ステークホルダーに向けての発信につなげていくこともでき、循環を生み出すことにつなげられるのではないでしょうか。
こうした活動は収益に直結するものではないものの、重要な営みであると考えています。前半で触れたような行動が尊重される環境において、どのようにしていけば経営において取り組むべきイシューとして認識してもらえるか、どう実行すれば継続した活動になるようにできるのかは引き続き考え、実践していきたいと思います。
今回、本文中で紹介した書籍はこちら。
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