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個人の全体と部分、複数の法人と個人の部分の重なり

仕事に対する熱量が高いとき、人は会社と自分を同一視する傾向があります。起業家などは特にその傾向が強く、日夜仕事のことを考えていても苦じゃないことも珍しくありません。

これは活動のエネルギーにもつながりますが、長続きする状態とも言えません。たとえば、業績が良くないときには、自分自身も成長できていない、価値がないように感じられてしまうことも起こります。

これを避けるためには、会社と自分の同一視から脱却し、適切な距離での付き合い方を見出していく必要があります。

法人と個人が一対一の関係でも、これは難しいテーマです。このテーマをさらに難しくするのが、個人が関係する法人は一対一ではなくなってきているということ。

複数の法人の経営に携わるという立場ではなかったとしても、個人がいろんな法人に仕事で関わるということは、少しずつ当たり前のものになってきています。

個人的に、複数の法人の経営に関わる立場を振り返ってみると、一つひとつの法人と自分自身のどの面を重ねていくのかを意識的・無意識的に調整しているように感じます。

自分の全体が内包される法人はなく、自分の部分が一つひとつの法人と重なるようなイメージ。自分のどの部分を、どの法人と重ねようとしているのかが自覚できると、自分の役割や期待が調整しやすくなる感覚が生まれます。

法人と個人の同一視からの脱却、個人の全体と部分の自覚、複数の法人との個人の部分の重なり。このあたりは、これから働いていく上でとても大切なことになるのではと考えており、いろいろと学んでいきたいテーマです。

このあたりのテーマについて考える上では、小説家の平野啓一郎さんによって「個人(individual)」に代わる新しい人間のモデルとして提唱された概念である「分人(dividual)」なども参考になりそうです。


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