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現代編集論

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編集の新しい可能性を深化、探索における思索をまとめていきます。
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#編集

文章を構成するパーツを意識する

ビジネスシーンでテキストコンテンツにおいて、ライティングを行う場合、論理的な説明が必要なことも多いため、文章をどのように組み立てていくかが大切です。 文章を組み立てる上では、いくつかのパーツを組み合わせて大きなパーツをつくり、大きなパーツ同士を組み合わせて、さらに大きなパーツをつくるようなイメージで進めていきます。 このパーツの大きさを捉えずに組み立てたり、順番を考えずに組み立ててしまうと、完成した際にいい形にはなりません。個人的には、上記のような文章を構成するパーツを、

書籍『編集宣言 エディトリアル・マニフェスト』

「編集工学」の方法論や、書籍紹介サイト「千夜千冊」などで知られる編集者の松岡正剛さんが2024年8月に逝去されました。 知の巨人や博覧強記といった言葉で表現されることも多かった松岡さん。編集ということを仕事にしている人間として、少なからず影響を受けています。 そんな松岡さんがオブジェマガジン『遊』の編集長をしていた時代に綴った編集術をまとめた『編集宣言 エディトリアル・マニフェスト』として出版されています。 本書には、松岡さんの編集に関するエッセイが収録されています。本

特定多数向けに信頼できる情報を集約する場

以前、インターネット情報をさがすためには、まずいろいろな情報が集約されるポータルサイトにアクセスし、そこから閲覧していくのが効率よい手段でした。 その後、RSSやメールマガジン、検索エンジンやSNS、特化型のウェブサービスなどの登場により、効率のよい情報収集の手段は変化していき、近年はSNSが主流だったように思います。 ただ、SNSのアルゴリズムはだんだんと変化し、特段みたくない情報ばかりがレコメンドされる「おすすめ」への誘導が強くなり、流通する情報も虚偽のものも多く、誰

企業における知の編集

インクワイアは、自分たちでメディアをつくって運営する活動と、企業のニーズに合わせてオウンドメディアの設計や立ち上げ、運営伴走を仕事にしています。 メディアは継続して運営し、改善を重ねていくことが重要なのですが、そのためには重要なポイントに集中できるよう、体制やワークフロー、ガイドラインなど、様々な要素の整理が大切になります。 継続のために最も重要なのが、発信するためのネタな尽きないこと。自社の実践からの学びや、手がけたリリースの背景、業界や産業の未来に対する見通しなど、様

インクワイアで編集の可能性を探究する「editorial studies」を始めます

インクワイアにて、広がり続けるメディアや編集の可能性を探究し、その担い手として未来の創造に貢献する。そのためのヒントを探るオンラインイベント「editorial studies」を開催することになりました。 個人や法人のメディア化を筆頭に、メディアを取り巻く環境はここ数年でより大きく変化しています。そのなかで、情報や知識を媒介する「編集」が果たす役割は、一層大きくなっていくはず。 企業の中でも経営、事業、組織への貢献が求められるなど、これまでにないほどメディアや編集の射程

「ナラティブ・インクワイアリー」にみる組織文化との向き合うヒント

編集が価値を発揮できそうな領域として、ナレッジ・マネジメントに注目しているのですが、そのなかでも最近気になっているのが「ナラティブ・インクワイアリー」という分野です。 編集者という存在は、領域を越境して、様々なものを見て回ります。その過程で、聞いた話を集めていき、それぞれの集団の文化を理解したり、洞察を深めたりします。 以前、「編集思考」のモデルをパターン・ランゲージとしてまとめようとした際に、「動く」「視る」といった動詞が編集行為として含まれていたのは、編集のこうした側

編集における価値創出フローの仮モデル

「事業活動における編集の価値をどう捉え、説明するか」 これは長く事業や組織などビジネス領域における編集者として活動してきて向き合い続けている課題です。 説明しやすいモデルやフローをまとめることは、クライアントなどに価値を伝える際に必要なだけではありません。 新しく編集者やライターとして活動していこうとする人たちに対して、どこにどのような価値があり、それをどう伸ばしていくのかを捉えやすくする目的もあります。 今回は、なんとかまとめて見ている図をシェアします。これが十分だ

メディアを通じたインパクト創出

先日、テクノロジーによる知の出会いで社会課題を解決する次世代メディア「esse-sense」を運営する株式会社エッセンスが資金調達を発表していました。 エッセンスは、既にある未来の可能性を実現するNPO、ミラツクの経営を通じてソーシャルイノベーションの創出にずっと取り組んできた西村さんによる新しい挑戦です。 今回の資金調達において、「ゼブラ経営の社会実装」を進めるZebras and Companyも参加しており、その出資に合わせた対談記事づくりをお手伝いしました。 詳

「場の編集」への意識を持つ

inquireが運営するメディア『UNLEASH』でイベントを開催した。当日のコンテンツについては先日ブログに書いた。 当然だけれど、イベントはコンテンツだけで成立しない。当日に至るまでのコミュニケーション、当日のセッティング、受付や会場案内、来場者の対応、終了後のお礼の挨拶、片付け、お礼の挨拶まで含めてがイベントだ。 イベントを企画する際は、来場者はもちろん、会場のスタッフやゲストも含めて気持ちよく過ごせる空間を作るための場の編集も必要だ。メディアを運営しているとイベン

「問い」を共有する記事をつくる

UNLEASHでは、新しい記事の書き方にいろいろとトライしてみています。 こちらは「SMOUT」という移住のプラットフォームが海外移住にも対応したというニュースを紹介するコラムです。 海外移住が当たり前になっていく中で、自らのアイデンティティはどこに帰属するのか、という疑問がここ数年頭の中をぐるぐる回っており、この記事の中ではその問いも一緒に共有しています。 実験的な取り組みではあるのですが、この記事をもとにNPO法人e-Education代表の三輪開人さんがブログを書

「インタビュー」を開く

先日、UNLEASHで初めてのイベントを開催しました。公開インタビューという位置付けで、話を聞くプロセス自体をコンテンツ化するという挑戦です。 これまでずっと記事を書いてきましたが、記事にする過程で様々な要素を削っています。そうしないと、読みづらくなってしまうからです。インタビュー中の面白さ、インタビュー前後での雑談にも面白い点は山ほどあります。編集が入り過ぎない面白さを共有できたらいいな、と。今回のイベントはそんな考えからスタートしました。 当日のインタビューで

ライターは打席に立つ回数を増やせるか

先週末、inquireの仕事を手伝ってくれているパートナーの長谷川賢人(@hasex)くんと話していて、ライターは打席に立つ回数が重要だよね、という話に。 彼は「ライフハッカー[日本版]」で、僕は「greenz.jp」や「THE BRIDGE」で、月に数十本の記事の編集や執筆を担当していました。ウェブメディアは日に数本から、多いところでは数十本の記事を掲載するので、一人が担当する本数も多くなります。 この本数は、翻訳記事の編集も含めての本数ではありますが、日本語を読みやす

「いいライターいませんか?」をなくしていきたい

会社を作って4年目になります。創業した理由の1つに、「いいライターいない?」と聞かれる頻度が高く、その状況を変えていきたいというものがありました。 自分の身一つで執筆できる量には限界があり、自分だけでは受けきれない数の相談を受けるようになっていました。ですが、発信が課題になっている魅力的な企業は数多く存在します。 市場に「いいライター」と呼ばれる人が少ないのであれば、可視化や育成の仕組みを生み出していかなければと試行錯誤を現在進行系で重ねています。が、それでもペースは理想

初心者も読んでおきたいライティング関連書籍

ライティング初心者も読んでおきたい、ライティング関連のいくつかの本をピックアップしました。