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現代編集論

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編集の新しい可能性を深化、探索における思索をまとめていきます。
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#オウンドメディア

社内から「これを記事にしてください」と相談されたらまず確認したいこと

企業内で情報発信を担当していると、日々いろいろな部署から「これを記事にしてほしい」という依頼を受けることがあると思います。依頼内容は、商品紹介やサービスの活用事例、イベント告知、メンバー紹介、社内施策の紹介など多岐にわたります。 しかし、ただ言われるがままに原稿を作っていては、目的が曖昧で読み手に響かない記事ができてしまうこともしばしば。今回は「社内から“これ記事にしてください”と相談されたときに、まず何をすべきか」について、まとめてみました。 近年であれば、依頼はなんら

オウンドメディアにも「共創」が必要

近年、企業が向き合う課題は複雑になっています。複雑で矛盾した変化する要件を把握するのが困難なため、解決が難しい問題は「厄介な問題(やっかいなもんだい、wicked problem)」なんて呼ばれることもありますね。 こうした課題を解決するうえで一つの企業で取り組むことが困難になっており、企業は多様なステークホルダーとの「共創」を通じて新たな価値を創出する取り組みが重要になっています。 こうした流れは、事業開発などの領域に限らず、企業のオウンドメディアにおいても立ち上がって

オウンドメディアの「ユーザビリティ」を改善し、適切に価値につなげる

オウンドメディアにとって「継続」が重要であることを以前のブログで書きました。 継続とは、変化を重ねることでもあります。目的が変わることは稀ですが、コンテンツや体制、インターフェイスなどは、変化に応じて変わっていきます。 改善をしていくうえで重要でなのが、「ユーザビリティ」です。ユーザビリティとは、製品やサービスの使いやすさ、見やすさ、理解のしやすさを包括的に評価する概念です。 せっかく継続してコンテンツをアーカイブしても、ユーザビリティに課題があっては、コンテンツの体験

オウンドメディアにとって大切で難しい「継続」

オウンドメディアは、企業が自社の価値観や専門性を発信し、読者との長期的な関係性を育むための場所です。 オウンドメディアの価値はいろいろありますが、「蓄積」によって発揮されるものもあります。継続的な発信によって、過去のアーカイブは段階的に厚みを増していき、検索エンジンでの上位表示やSNSでの再シェア、引用などを通じて、時間をかけて「資産」としての価値が形成されていきます。 ただ、この「育む」「蓄積」という過程には、日々の地道な取り組みが求められます。インディペンデントなメデ

企業が運営するメディアの可能性を探索する3つの問い

インクワイアでは、自社のメディア実践と、企業が運営するメディアの支援を両輪で行っています。昨今はメディアを取り巻く環境の変化も激しく、来年にはいろいろと挑戦が必要だと感じています。 背景にある課題などは共通しているものの、アプローチの仕方についてはベクトルが異なるため、自社のメディア実践とは分けて企業メディアの可能性探索についてのエントリをまとめてみます。 ここでは個人的に来年探索したいと考えている問いを備忘録的にまとめた内容を共有します。 可能性を探索するための3つの

経営における編集の可能性についての雑感

先週の週末は、メルカリの西丸くんが主宰するインハウスエディターコミュニティのイベントにお邪魔しました。 西丸くんは以前、インクワイアが主催するイベントにも登壇してもらったこともあり、個人的にはその続編のような気持ちでのぞみました。イベントの中で話した内容を踏まえつつ、メモのようなものを書いておこうと思います。 「インハウスエディター」という言葉に着目し始めたのは、2018年の頃。当時はどんな仕事なのかについて少しでも解像度を高められたらと、ferretさんの連載の中でこん

メルカリマガジンに見る、アプリがメディアを運営することの価値

メルカリが新たに個人の好きなものを応援するライフスタイルWebマガジン「メルカリマガジン」を公開しました。 この動きに対して、メディアの可能性に関して考えることがあったので、メモ書き程度にまとめておこうと思います。「こんな可能性もあるかも」程度の話なので参考までに。 メルカリはオウンドメディアをいろいろ運営しているので、メディアをやること自体に驚きはないのですが、このメディアはちょっと興味深いです。 このメディアのリリースを見て思い出したのが、Sansanが運営するメデ

ライティングとコーチングの境界線が面白そう

inquireではこちらのnoteで書かせてもらったように、いろんな組織の編集パートナーとして情報発信のお手伝いをしています。 編集パートナーとしての仕事の中には、ライティングの代行をすることもあれば、インハウスで発信ができるようにと執筆のお手伝いをすることもあります。組織の中で発信できるようになることも大事です。 発信を外部に依存していて、何かしらの理由で依頼できなくなってしまったら、発信もできなくなってしまうわけですから。このあたりも長くなるので、以前ferretに寄

「ことば」で組織づくりや事業づくりを支援する

昨年、inquireと山本 郁也さんが代表を務めるデラシネとで連携して、企業のCIライティング、サービスのUXライティングを支援する「ことばのコンサルティング」をはじめました。 「ことばのコンサルティング」は、企業のビジョン・ミッション・バリューなど、企業の軸となるCI(コーポレートアイデンティティ)のライティング支援、Webサービスやその他プロダクトなどにおけるキャッチコピー、ボディコピー、ボタンのラベル、エラーメッセージなど、あらゆるテキストの設計をお手伝いするパッケー

オウンドメディアも次の段階へ

連日、ICCでのインプットからのブログです。今日は、オウンドメディアリクルーティングのセッションから。 indeedさんがオウンドメディアリクルーティングという概念の提唱に力を入れていて、その話に触れつつ採用という経営課題についての話でした。 セッションの内容については冒頭のツイートに紐づけてメモしているのでそちらを見てもらうのが良いかと。 オウンドメディア自体はある程度浸透してきた概念ですが、環境の変化によって改めて注目を集めるようになってきてます。 採用ブランデ

ブランドがクリエイティブを自社で制作する動きは、オウンドメディア運営にも変化を与えそう

DIGIDAYの「「インハウス」マーケティングの現状を示す 5つのチャート」の記事で、興味深い情報が紹介されていた。 ▷「インハウス」マーケティングの現状を示す 5つのチャート この記事の中では、ブランドがクリエイティブを自社で制作する動きについても触れられている。 ユニリーバの年次報告書によると、社内のチームは外部のエージェンシーと比べて、コンテンツの制作スピードも速く、しかも30%安く作ることができているという。ほかの大きなブランドと同様に、ユニリーバは自社で広

「インハウスエディター」は事業や広報を理解する企業内編集者

「オウンドメディア」という言葉もすっかり浸透した。僕がフリーランスになった2011年当時にはまだ言葉として浸透していなかったが、ビジネスの現場では大抵通じるようになった。 「オウンドメディア」への注目が高まり、取り組もうとする企業が増えるにつれて、ライターや編集者の仕事も増加している。オウンドメディアに寄稿する、運営を行うといった仕事も珍しくない。 僕も、色んなオウンドメディアに関わってきたし、話を耳にしてきた。昨年末頃から持ち始めたのは、オウンドメディアはいつまでこの勢