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現代編集論

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編集の新しい可能性を深化、探索における思索をまとめていきます。
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#コンテンツ

社内から「これを記事にしてください」と相談されたらまず確認したいこと

企業内で情報発信を担当していると、日々いろいろな部署から「これを記事にしてほしい」という依頼を受けることがあると思います。依頼内容は、商品紹介やサービスの活用事例、イベント告知、メンバー紹介、社内施策の紹介など多岐にわたります。 しかし、ただ言われるがままに原稿を作っていては、目的が曖昧で読み手に響かない記事ができてしまうこともしばしば。今回は「社内から“これ記事にしてください”と相談されたときに、まず何をすべきか」について、まとめてみました。 近年であれば、依頼はなんら

コンテンツの素になる企業の「資産(アセット)」を確認する

先日、コンテンツをつくる際はマルチユースも考えられるといいよね、というブログを書きました。 この件と合わせて、コンテンツをつくるための素材が抱負にあると、コンテンツをつくり、活用するためのイメージがさらに発展していきます。 その際、大切になるのがコンテンツをつくるための企業内の「資産(アセット)との向き合い方です。 「資産(アセット)」と表現すると、そんなのないかも、と感じる人もいるかもしれませんが、コンテンツの素になるものは意外に眠っているもの。 たとえば、資産(ア

つくるコンテンツの「マルチユース」も考える

品質の高いコンテンツを作成しようとすると、その分コストや時間がかかります。このことは以前、コンテンツにおけるQCDについて紹介するエントリにて触れました。 せっかくコストや時間をかけて制作した質の高いコンテンツを、「ワンユース」で終わらせてしまうのではなく、複数の用途やチャネルで活用する「マルチユース」はできないかと考えることも大切です。 コンテンツをつくる際、社内にあるさまざまなアセットを整理し、目的に応じてチャネルを選定し、まとめていきます。ポッドキャストやイベント登

コンテンツのプロトタイピング

「プロトタイピング」とは、プロダクトやサービスの試作モデルをつくり、それをもとに、検証を重ねながら柔軟に軌道修正することで、より顧客満足度の高い製品などを開発する手法やプロセスのことを指します。 コンテンツづくりも「ものづくり」と捉えると、プロトタイピングが不可欠。コンテンツも試作段階を経ることで、磨きをかけられ、関係者との目線をあわせていきやすくなります。 特に、過去に例のない新しいコンテンツづくりに着手する際は、事前にどのようなものをつくるのかの目線合わせが欠かせませ

コンテンツをリバースエンジニアリングする

新しくメディアを立ち上げるとき、当然ですがまだ自分たちのメディアにはコンテンツがありません。そのため、どんなコンテンツを作ればよいか、関係者でイメージをすり合わせるところから始める必要があります。 抽象的なイメージだけでは、関係者間での目線が合いにくい。そこで、参考となるコンテンツを外部でピックアップし、具体的な要素を洗い出すことで、“目指すコンテンツ”の輪郭をはっきりさせていきます。 既存のコンテンツを、いわば「リバースエンジニアリング」して、つくりたいコンテンツのイメ

分散するチャネルと、コンテンツのアーカイブ

最近、検索エンジン経由の流入が減少しているよねという雑談をする機会も増えました。従来の検索ニーズの一部が、AI検索サービスに移っているのだろうという話とセットで。 実際に、自分の行動を振り返ってみるとGoogleの検索窓にキーワードを打ち込まず、PerplexityやGensparkなどAI検索サービスや、ChatGPT searchなどを使う場面が大幅に増えました。 AI検索を使う人の数が増えるにはまだ時間はかかるだろうと考えられますが、一定の割合が検索エンジンから代替

メディア間でのコンテンツ売買

文化通信社が、新聞社や出版社などのメディア企業がコンテンツを相互に売買できるプラットフォーム「MediaLink(メディアリンク)」を2024年11月29日に開設しました。 このクローズドサイトでは、全国の新聞、雑誌、書籍、地域紙、情報誌、Webメディアなどのコンテンツを有料で相互に利活用でき、文化、歴史、芸能、人物、食、旅など、長期的に読まれる内容が対象となっています。 せっかく各メディアがつくったコンテンツがより多くの人に伝わるようになることは歓迎したいこと。また、こ

コンテンツの要望・要求・要件・仕様を分けてみる

コンテンツをつくる際、形になってきたところで関係者の間で「つくりたかったものと違うな…」とズレが生じてしまうことがあります。ズレはつくっていく過程でどんどん広がっていくため、前の段階でズレがないようにチューニングすることが大切です。 そのためには、はじまりに近いタイミングで、「どんな目的で、どんなものをつくるか?」をできるかぎりすり合わせること。以前紹介した「コンテンツブリーフ」などは、すり合わせのためのツールのひとつです。 ただ、こうしたフレームを埋めても、まだすり合わ

コンテンツのストックとフロー

コンテンツを分類する考え方はいくつかあり、それらの考え方を切り替えながら、コンテンツの検討に役立てます。コンテンツを考える際によく用いる考え方が、「フロー」と「ストック」に分類するというもの。 たとえば、フローはトレンドのレビュー記事、最新ニュースの解説、イベントのライブ実況など。ストックは、ハウツー記事、ベストプラクティス、FAQなどがコンテンツの種類としては該当すると考えられます。 フロー型コンテンツは、リアルタイム性や時事性が強いコンテンツです。トレンドやニュース、

ナレッジとコンテンツのマネジメント

コーポレートブランディングのためのアプローチのひとつとして、自社のコンテンツ発信があげられます。ブランディングやリレーションの構築は、時間をかけて行うものでもあり、発信も継続して行わなければなりません。 継続して会社の発信を行うためには、会社がどのような経験をし、学びを経て、知識を蓄えているのかを把握する必要があります。その把握ができていなければ、発信するネタを探すのにも一苦労です。 企業の情報発信を強化することと、ナレッジマネジメントはセットで捉えて取り組めたほうがよい

コンテンツづくりを始める前に「コンテンツブリーフ」で要件を定義する

オウンドメディアを運営する、採用コンテンツをつくる、事例コンテンツをつくるなど、企業にとってコンテンツをつくるニーズは多々あります。 コンテンツは多くの人が見たことがあり、「コンテンツをつくろう!」とすると、イメージができているように思いやすいもの。 一方で、複数の関係者とともにコンテンツづくりを進めていく際には、コンテンツをつくる上での様々な条件を確認することが欠かせません。 例えば、広告やマーケティングなどでは制作物を作成する前に「クリエイティブブリーフ(Creat

コンテンツづくりにおける品質・コスト・納期の「QCD」を考える

コンテンツメイキングでは、より良いコンテンツを、納得できる単価で、希望する納期までに届けることが求められます。これらの要素は、相互に関係して成り立っています。 製造業では、これらのバランスを考えることをQuality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字をとって「QCD」と表現されます。これらをすべて達成することは難しく、コンテンツをつくる際はこれらのバランスや優先順位を考えながら取り組む必要があります。 例えば、Quality(品質)を優先すると

動画や音声の時代における「書く」の価値

プラットフォームも増え、テクノロジーの発達で動画や音声を制作するハードルが下がったこともあり、動画や音声のコンテンツニーズは上がっています。 文字のコンテンツは、動画や音声と比べて受け取る側の能動的な行動がより求められるため、人のアテンションを奪い合っていたり、可処分時間が減っていくなか、相対的に不利な状態にあります。 生成AIの進歩もあり、テキストのメディアで仕事をしてきた人は、仕事に対する不安を抱えることも多いのではないかと思います。とはいえ、生存の可能性も大いに残さ

コンテンツづくりの変数を捉えて成長のための課題を設定する

製造業においては、「QCD」と呼ばれる大事な要素が存在します。QCDとは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を並べたもの。 4年以上前ですが、ferretにこんな記事を書きました。メディア運営やコンテンツ開発も、製造に関するナレッジから学べることが多々あります。 コンテンツ開発の変数QCDというわけではありませんが、コンテンツ開発のスキルを分解する際に以下のように分けられます。 質=Quality 速さ=Speed 量=Qu