マガジンのカバー画像

コンテンツログ

64
本、映画、アニメ、マンガなど、自分の文化的な土壌を耕してくれるコンテンツについての体験メモのようなもの。
運営しているクリエイター

#映画

映画『キノ・ライカ 小さな町の映画館』

フィンランドのヘルシンキから1時間ほど離れた場所にカルッキラという町があります。長らく鉄鋼の町として続いてきたここで、今は使われなくなった鋳物工場を活用して、はじめての映画館「キノ・ライカ」がオープンしました。 この映画館の共同経営者であり、この町出身の映画監督であるアキ・カウリスマキをフィーチャーした初めてのドキュメンタリー映画が上映されているということで、ユーロスペースに観に行ってきました。 小さな町の映画館がどのようなものなのかを観たいと考えていたのですが、カルッキ

ドキュメンタリー映画『マミー』

二村真弘監督のドキュメンタリー映画『マミー』を観てきました。今年の夏に上映された映画ですが、田端のシネマ・チュプキ・タバタでアンコール上映が行われていたので、そちらに。 この作品は、1998年7月に起きた「和歌山毒物カレー事件」について取材したもの。当時、自分は子どもでしたが、連日メディアでこの事件につ いて報道されていたことを覚えています。 事件の被告人として起訴され、無罪を訴えていたものの、2009年に最高裁で死刑が確定したのが林 眞須美。彼女は獄中から無実を訴え続け

映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』

サイコスリラー映画『ジョーカー』の続編、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を観てきました。前作の『ジョーカー』は、大きな話題になって、社会現象を巻き起こしたとも言われている作品です。 前作では、コメディアンを夢見る道化師のアーサー・フレックが、派遣ピエロとしてわずかな金を稼ぎながら、年老いた母親ペニーと生活を送るなかで、どのように「ジョーカー」となっていったのかが描かれていました。 今作の評判は今のところあまり良くはありませんが、個人的には前作と同様に良い作品だったと思いま

映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

2024年10月4日から公開された映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を観ました。A24製作、アレックス・ガーランドが監督する作品で、2週連続全米1位を獲得した、ディストピア・アクションです。 この予告編を観た時から上映をずっと待ち望んでいました。A24が史上最高の製作費を投じたということもありますが、アメリカは2024年11月に大統領選挙を控えている、このタイミングの公開ということもあります。 もちろん、ハリス副大統領が選ばれるのか、トランプ前大統領が再選するのかと

映画のようなゲーム。ゲームのような映画。

2038年、世界はどうなっているだろう。 ちょうど今から20年後だ。 20年前の1998年はどんな社会だっただろう。 Wikipediaを調べてみると、CDがバブルだったり、ビデオカセットや写真フィルムが史上最多だったみたいだ。今では考えられない。 とすれば、20年後は今からでは想像もつかない世界になっていたとしてもおかしくはない。 『Detroit Become Human』は、そんな2038年のデトロイトを舞台にしたゲームだ。作品でのデトロイトは、人工知能やロボ

「パラサイト 半地下の家族」を観て

「パラサイト 半地下の家族」を観た。カンヌ国際映画祭での最高賞パルムドールに続き、ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞したと話題の映画だ。SNS等でも「面白い」という反響が多く投稿されていて気になった。 評判どおりの受け取り方はできなかったものの、色々と考えさせられる点があったので、感想を書いておこうと思う。以下、ネタバレも含むので観ていない方はここまでにしてもらえたら。 作品は、半地下の住宅に暮らす貧しいキム一家が、高台の豪邸に住む裕福なパク一家にパラサイトするという