少しずつ増える地元のための時間を楽しむ

GWの連休で2、3日のわずかな期間、地元に帰っている。僕の地元は、岐阜県の美濃加茂市という人口5万人強の街だ。

かつては江戸時代の五街道のひとつ中山道が通っていた場所で、「太田宿」と呼ばれた宿場だった。今でも、宿場町としての面影も残している。

宿場街の面影を感じる街並みが街の中心でありつつも、そこから車ですぐアクセスできるところに山と川がある。山のほうに行くと、ニホンザルやホタルが見られる。けっこう立派な自然がある。


歴史の残り香と豊かな自然が共存する街だと、今は思う。

19歳までこの街で過ごしていたけれど、居たときに街の魅力はわからなかった。大学から東京に出て、各地に足を運ぶようになって、ようやく地元の魅力もわかるようになってきた。

名古屋から移住してきたご夫婦がオープンした「コクウ珈琲」のように、センスの良いお店が地元にできたというのも、考えを変えるきっかけのひとつになっているかもしれない。


高校を離れ、大学に行っている間や働き始めたころはすっかりと疎遠になっていた土地に対して、何かできることはないか。そう考え始めるようになったのは、昨年のことだ。

名古屋を対象とした地域メディアを作って周辺エリアの盛り上げができないかと取り組んだり、若者向けに講演をさせてもらったりして、少しずつ自分にできることを試してみている。今年に入って、地元の駅前にビルも借りた。

自分なりにできることや楽しめることを考え、ひとつひとつ楔を打っていくと、見えてくる景色や出会う情報が変化する。

市役所で働いている人たちや、地域のまちづくりに協力したいと考える人たち、地元でお店を開きたいと考えている人にも出会った。

元々が狭い街だから、出会う人も知り合いが多い。高校の先輩や同級生だったり、母親の同級生だったりしたこともある。昔だったら、「なんて狭い世界なんだろう」と嫌気が指していたような状況も、感じ方が変わってきた。

中学校や高校生で記憶の更新が止まっていた相手が、自分のやりたいことについて教えてくれて、上書きされていく時間はなんだかとても贅沢なもののように感じている。

数十年後、地元が今より良い場所になっているために、現時点で自分たちが楽しみながらできることはなんだろうか。そんなことを考える時間が増えてきた。

まだ、自分の活動は東京を中心としているけれど、少しずつ地元での活動も増やしていきたいと思う。多拠点で活動できるようにするのが、僕がやりたいことのひとつだ。

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