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無為とネガティブ・ケイパビリティ

複雑な問題への対応、長期的に物事に取り組む、システムチェンジなど、取り組むべきことが様々な観点から語られます。こうした対応を進めていく際に、共通して必要になるのが「ネガティブ・ケイパビリティ」です。

枝廣淳子さんが書かれたこちらの本を読んで、ネガティブ・ケイパビリティについての理解を深められただけでなく、システム思考やU理論、バックキャスティングなど、他のキーワードとのつながりも整理できました。

ネガティブ・ケイパビリティとは、詩人ジョン・キーツが最初に述べた「不確実なものや未解決のものを受容する能力」のことを指します。近年、この能力の重要性が語られる場面が増えています。

最近、トランジションデザインやシステミックデザインなど、複雑化する社会課題を解決するためのアプローチも関心を持っています。こうしたアプローチを進めていくにもネガティブ・ケイパビリティが必要ですね。

ネガティブ・ケイパビリティに対して、ポジティブ・ケイパビリティという表現も存在しており、こちらはいわゆる「問題解決能力」と呼ばれるもの。一般的に社会ではポジティブ・ケイパビリティが求められる場面が多いとされています。

ネガティブ・ケイパビリティとポジティブ・ケイパビリティは両輪として物事に取り組んでいくことが重要だとされていますが、これがなかなか難しい。変化の速度が早く、情報量が多いなかでは意思決定のスピードも求められ、ともするとポジティブ・ケイパビリティのみで判断してしまいがちです。それが続いてしまうと、意思決定が短期目線になってしまうこともありえます。

これは強く意識しつつ、実践できるようにするための装置を仕込むと同時に、ネガティブ・ケイパビリティを発揮できるようにするための訓練も必要になりそうです。枝廣さんの書籍の中では、そのための方法として瞑想や「なにもしないをする」の大切さが述べられていました。

個人的には、「無為」という概念には関心を持っていたのですが、ネガティブ・ケイパビリティとのつながりは言語化できていなかったので、その観点でも読めてよかったですね。『無為の技法』という本が好きで、定期的に読み返すのですが、近々読み直そうと思います。

ネガティブ・ケイパビリティが個人において大切だとして、ネガティブ・ケイパビリティをチームとしてどう発揮するか、という観点も考えてみたいですね。チームレジリエンスのようなテーマと合わせて考えてみると、発見がありそう。



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