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映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

2024年10月4日から公開された映画『シビル・ウォー アメリカ最後の日』を観ました。A24製作、アレックス・ガーランドが監督する作品で、2週連続全米1位を獲得した、ディストピア・アクションです。

この予告編を観た時から上映をずっと待ち望んでいました。A24が史上最高の製作費を投じたということもありますが、アメリカは2024年11月に大統領選挙を控えている、このタイミングの公開ということもあります。

もちろん、ハリス副大統領が選ばれるのか、トランプ前大統領が再選するのかという結果も気になるところですが、選挙戦の様子から様々な分断がアメリカ国内に生まれていることを感じます。

実際に内戦が起こったらどうなってしまうのか──そんな疑問に対して、ひとつの答えを示す作品になるのではないかと、予告編を観たときに期待をしていました。

さて、作品の内容について。ストーリーは以下のようになっています。物語はすでに内戦が勃発し、終結に近い状態になったところから。終戦前に大統領のインタビューを行うためにNYからDCへと1000キロを超える距離を旅するジャーナリストたちの様子を描いています。

連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。就任 “3期目”に突入した権威主義的な大統領はテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。ニューヨークに滞在していた4人のジャーナリストは、14ヶ月一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うため、ホワイトハウスへと向かう。だが戦場と化した旅路を行く中で、内戦の恐怖と狂気に呑み込まれていくー

テキサスとカリフォルニアが同盟を組んでいるように、リベラルと保守の対立といった様子などは作中にはほとんど登場しません。任期は2期までとなっている大統領が3期目に突入しており、権威主義に対する反対の姿勢は感じられますが、政治的なことはあまり語られません。

また、予告編で受ける印象ほど戦闘状態を描いたシーンは多くなく、基本的にはロードムービーのような雰囲気。新人のジャーナリストが戦場を経験して変化していく様子が描かれます。道中は戦場の最前線ではないものの、内戦による影響は旅路の途中に見られます。

戦場の様子ではなく、内戦によって国内で起きるだろう変化や衝突が描かれている点が、個人的には印象に残りました。こちらの「どの種類のアメリカ人だ?」と問いかけるシーンは予告編でもかなり印象的なシーン。演じているのは、主演のキルステン・ダンストのパートナーであるジェシー・プレモンスです。

日本で内戦が起きたらどんな変化が起こるのか、国内に存在する分断が強く顕在化するのではないか、そんなことを考えながらの鑑賞となりました。

作中のジャーナリストたちが戦地でいかにストレスにさらされながら記録を行っているかも描かれます。こうしてジャーナリストたちが撮影していなければ、『マリウポリの20日間』のように、現在も続いている戦争の様子を知ることはできません。ジャーナリストの活動に敬意を抱く作品でもありました。


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