映画『マウリポリの20日間』
この週末は映画『マウリポリの20日間』を観に行きました。ロシアがウクライナ侵攻を開始した後、ミスティスラフ・チェルノフ監督がAP通信のチームと共にマリウポリで集めた映像を編集した作品です。
マリウポリでの出来事はニュースで断片的にしか知ることができていませんでしたが、本作ではチェルノフ監督とチームがロシア軍に包囲された街から脱出するまでの20日間の様子がまとめられています。
正直、爆撃される街の様子、街なかで横たわる死者、病院に運び込まれる民間人、子どもを失って慟哭する親の様子など、目を背けたくなるような場面も多々ありました。
取材した彼らの存在がなければ、この光景を知ることもなかったのだと思うと、記録すること、発信することの大切さを改めて感じる機会にもなりました。同作は第96回アカデミー賞では長編ドキュメンタリー賞を受賞しており、授賞式で監督はこのように語っています。
ロシアによる侵攻が始まるより前に観ていたのが、2013年11月21日から2014年2月23日までのウクライナにおけるユーロマイダン抗議運動を取り扱った長編ドキュメンタリー映画『ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い』でした。
EUの署名を中止する代わりに、ロシアやユーラシア経済連合との結びつきを強化するというウクライナ政府の決定に対して反対するデモ活動から始まり、最終的には親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の追放をもたらした市民運動の様子をまとめた作品です。
『マウリポリの20日間』を観た後で、『ウィンター・オン・ファイヤー: ウクライナ、自由への闘い』も観直したのですが、自由と尊厳を勝ち取るということがいかに困難なことであるのかを改めて痛感します。
マリウポリは、約3か月続いた包囲戦の後、ロシアに占領。ウクライナ侵略も未だ終わる見込みが立っていない状況です。過去の出来事ではなく、現在も進行している事象に対してどう向き合うのかは考えなければいけません。その問いに向き合う上で、ゲンロンセレクトの『ウクライナと新しい戦時下』は良いヒントをくれそうです。