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現代編集論

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編集の新しい可能性を深化、探索における思索をまとめていきます。
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2022年12月の記事一覧

「コレクティブ・メモリー(集合的記憶)」とアーカイブ、ナラティブについてのメモ

最近、友人と話していて、コレクティブトラウマ(集合的トラウマ)の話から、コレクティブ・メモリーの話になりました。 コレクティブトラウマとは、個人が依拠する共同体との結びつきの喪失による外傷を指すとされます。 コレクティブトラウマ自体も理解を深めていきたいテーマではあるのですが、これとセットで話をしていたのがコレクティブメモリーです。 その時の会話では、コレクティブトラウマの蓄積に対してどう向き合うか、コレクティブメモリー同士の間に起こる摩擦を衝突という形でなく解消するた

「コミュニティ・アーカイブ」とメディアの役割

今年の3月、せんだいメディアテークの展示「星空と路 —3がつ11にちをわすれないために—」を訪れました。主催は、「3がつ11にちをわすれないためにセンター(略称:わすれン!)」。 東日本大震災による甚大な影響に対し、ともに向き合い考え、復興への長い道のりを歩きだすために立ち上がった同センターでは、市民、専門家、スタッフが協働し、震災とその復旧・復興のプロセスを独自に記録・発信し、寄せられた映像、写真、音声、テキストを「震災の記録・市民協働アーカイブ」として保存しています。

「ナラティブ・インクワイアリー」にみる組織文化との向き合うヒント

編集が価値を発揮できそうな領域として、ナレッジ・マネジメントに注目しているのですが、そのなかでも最近気になっているのが「ナラティブ・インクワイアリー」という分野です。 編集者という存在は、領域を越境して、様々なものを見て回ります。その過程で、聞いた話を集めていき、それぞれの集団の文化を理解したり、洞察を深めたりします。 以前、「編集思考」のモデルをパターン・ランゲージとしてまとめようとした際に、「動く」「視る」といった動詞が編集行為として含まれていたのは、編集のこうした側