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コンテンツ感想ログ

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本、映画、アニメ、マンガなどの覚書。体験したもののメモのようなものです。
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記事一覧

映画『マウリポリの20日間』

この週末は映画『マウリポリの20日間』を観に行きました。ロシアがウクライナ侵攻を開始した後、ミスティスラフ・チェルノフ監督がAP通信のチームと共にマリウポリで集めた映像を編集した作品です。 マリウポリでの出来事はニュースで断片的にしか知ることができていませんでしたが、本作ではチェルノフ監督とチームがロシア軍に包囲された街から脱出するまでの20日間の様子がまとめられています。 正直、爆撃される街の様子、街なかで横たわる死者、病院に運び込まれる民間人、子どもを失って慟哭する親

「ステートメント」を書くために

「パーパス」の重要性が声高に叫ばれる中で、多くの企業が掲げる方針、約束、声明、宣言などの「ステートメント」の重要性は増しているように感じられます。 一方で、こうしたステートメントをどう表現するかについての発信は多くはありません。What to SayとHow to Sayであれば、ほとんどがWhat to Sayについての言及です。 そんななか、コピーライター・クリエイティブディレクターの岡本欣也さんの著書『ステートメント宣言。』は、参考になる視点をいくつか与えてくれる書

『話し方の戦略』から「話す」と「書く」を学ぶ

YouTubeやPodcastなど、商談や登壇以外にも話す機会は増えているように思います。一方で、「話し方」を学ぶ機会は増えていません。というか、学ぼうと思ってもどこで学んだらいいかわかりませんよね。 「話し方を学ばないとなぁ」と感じている人に、『話し方の戦略』はおすすめです。話し方トレーニングサービス「kaeka」を提供する株式会社カエカ代表の千葉さんの著書。 コアとなるメッセージの整理から、話す順序、声の出し方など、すぐにでも参考にできる内容も多いのに、何度も繰り返し

文章から「論理バグ」をなくすために

「ビジネスでは論理的思考が重要」なんて今さら言うようなことでもありません。が、「言うは易く行うは難し」の典型のようなもので、論理的に考えるというのはなかなか難しい。 論理的思考の本は多々ありますが、こちらの書籍はなかでも起こりやすい「論理バグ」をピックアップし、なぜ起こるか、どう対処するかを紹介している書籍でした。 ライターに限らず、文章を書く時間の多い人はなおさら読んだほうがいい書籍だと思います。仕事柄、文章をレビューする機会は多いのですが、パッと見は問題なさそうでもロ

「自己検閲」を外すライティングプロセス

書籍『自分の「声」で書く技術――自己検閲をはずし、響く言葉を仲間と見つける』を読みました。この書籍のなかで紹介されていたライティングプロセスを経てみようと思い、書籍の感想ログを書いてみました。 「文章を書く」「ライティング」という行為について考える。この言葉は人によって抱くイメージが異なる。「何を書くのか」によって違うのだ。そのため、ライティングについて悩みや課題を抱えているとして、その解決につながるものが何になるかは異なってくる。 クライアントの依頼を受けて、目的を達成

「真実」という不確かなもの

2023年のカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した映画『落下の解剖学』を観ました。あらすじはこんな感じの作品。 前情報ほとんどなしで観に行ったのですが、最後まで飽きることなく作品に惹き込まれていました。 人は世界をそのまま認識できるわけではないので、「真実」とはなにかを明確にするのは非常に困難ですよね。事象があり、その事象をどう観測したか、それをどう解釈したか、どう記憶したか、解釈や記憶を他者にどう伝えたか。同じ事象に触れたとしても、解釈や記憶が異なっていることがほと

哲学、パラドックス、システムを思考する

日本で哲学コンサルティングを提供しているクロス・フィロソフィーズ株式会社代表の著者による『哲学思考』を読みました。 以前の『哲学シンキング』と比べると、より哲学をビジネスにどう活きるのかに焦点をあてた内容でした。 『哲学思考』では、非合理なことも視野に入れた上で「なぜ」を問うこと、倫理的にジレンマが生じる場面で「どうすべきか」を問うことなど、ビジネスにおいて重要度が増している事象に対して、哲学的に思考することが有用であると述べられています。 個人的には以下の内容は共感で

忘れないために文章を書く

松浦弥太郎さんの著書『エッセイストのように生きる』を読みました。 同書の中では、「エッセイとはパーソナルな心の様子を描いた文章であり、エッセイを書くことは生きる指針を作ることであり、一つの生き方の提唱でもある」としています。 個人的に一番、心に残ったのは「忘れたくないことがあるから」という松浦さんの書く理由です。毎日、毎時、なにかを感じ、考えながら過ごしているはず。それを書き留めておかなければ、すぐに忘れていってしまいます。 忘れないために、自分の考えたこと、感じたこと

「ソーシャル・イントラプレナー」、社会課題の解決を社内起業家の存在

社内で新規事業を生み出すイントラプレナー(社内起業家)の存在は様々な企業で求められるようになっています。 ソーシャルスタートアップや、インパクト投資、SDGsなど事業成長だけでなく、社会課題の解決も求められるようになっているなか、イントラプレナーのあり方も変わろうとしているようです。 書籍『ソーシャル・イントラプレナー』で紹介されているのは、その名の通り社会課題の解決と事業成長の両立を目指す社内起業家に必要な考え方や実践例でした。 ソーシャル・イントラプレナーの登場同書

起業を促すプラットフォームとしてのグループ会社経営

社会問題を解決するビジネス(ソーシャルビジネス)しかやらない会社として知られるボーダレスグループの創業者である田口さんの著書を読みました。 グループとしてどのように連続的にソーシャルビジネスを立ち上げ、全体で利益を循環させているかというスキームが非常に興味深かったです。 スタートアップスタジオで事業立ち上げを支援する仕組みは有名ですが、ボーダレスグループでは黒字化したあとの経営フェーズにおける業務を支援するバックアップスタジオもセットにしているというのは参考になりました。

人は”人”にお金を払う

『ばらかもん』という漫画が好きで、新刊が発売されるのを楽しみに待っている。”ばらかもん”とは、五島列島方言で「元気者」という意味だそうだ。 『ばらかもん』は、有名書道家の息子である主人公が、自分なりの書道を見つけるべく、東京から遠く離れた島で生活するところから始まる。 自然からインスピレーションを受けて作品を書く様や、島の人たちと交流することで人間的に成長する姿が描かれている作品だ。 魅力的なキャラクターが数多く登場するので、楽しく読んでいくことができるのだけれど、見逃

「1440分」を生産的に過ごせるか

1日は、1440分なのだそうだ。 60分×24。これを多いと感じるか、少ないと感じるかは人によって分かれるだろうけれど。 僕は、短いと感じた。時間を細かい単位に砕いてみると、時間に対する意識を強く持てたりする。 1440分のうち、睡眠時間が3分の1だとしたら、480分は睡眠時間だ。1日の過ごし方は、残りの960分をどう過ごすかでしかない。 生産性を上げ、濃い時間を過ごすことができれば、他者と同じ時間を過ごしているとしても、大きな変化をもたらせるかもしれない。 『エッ

映画のようなゲーム。ゲームのような映画。

2038年、世界はどうなっているだろう。 ちょうど今から20年後だ。 20年前の1998年はどんな社会だっただろう。 Wikipediaを調べてみると、CDがバブルだったり、ビデオカセットや写真フィルムが史上最多だったみたいだ。今では考えられない。 とすれば、20年後は今からでは想像もつかない世界になっていたとしてもおかしくはない。 『Detroit Become Human』は、そんな2038年のデトロイトを舞台にしたゲームだ。作品でのデトロイトは、人工知能やロボ

自分の「最高」を目指すための目標設定の考え方

年末年始にスポーツ心理学博士の布施 努さんの著書を読みました。目標設定についてや、自身の成長に関する考え方がかなりわかりやすくまとまっていたのでメモ。アスリートに関する話ですが、ほとんどそのまま仕事に当てはめられます。 自分がコントロールできるのは自分だけ。目標を立てるときは理想像と現在のギャップを明らかにし、何がどれだけ必要化を明確にしてやらなければならないことに取り組む縦型×逆算で。 横型比較思考で他者と比べながら、自分の不足部分を足し算しながらで目標を設定すると諦め