多様化が進むと「コミュニケーション」が大事になる
「シビックプライド」という概念がある。
これは都市に対する市民の誇りを指す言葉で、自分自身が関わって地域を良くしていこうとする、ある種の当事者意識に基づく自負心がシビックプライドだ。
2008年には宣伝会議から「シビックプライド―都市のコミュニケーションをデザインする」が出版され、注目を集めた。アムステルダムの「I amsterdam」などが有名な事例だ。
シビックプライドが注目を集め始めたのは、欧州だった。その背景には、EUが生まれ、欧州間の移動がしやすくなったことがあるという。欧州の都市は、互いに市民を奪い合い、都市間競争が激しくなった。
さらに、今までは「この都市に住むのは、こういう人たち」というのが一様だった。が、移動しやすくなったことで都市における市民の多様化も進んだ。
都市間競争の激化と、市民の多様化。それによって、各都市は都市のアイデンティティを示さなければならなくなり、シビックプライドが生まれた。
これと同じような話を目にした。産業編集センターが出版している「組織と人を活性化する インナー・コミュニケーションと社内報」を読んでいるときだ。
企業でも多様化が起きている。企業も、少し前までは同じ価値観の人たちが働く場所だった。働き方における価値観も多様化が進んでいるし、企業が競争する対象も広がっている。
会社はビジョン、ミッションを再確認し、関わる人々に浸透させようと取り組み始めている。社内報やインナーコミュニケーションが少しずつ注目を集めているのは、そういう理由なのだろう。
多様化が進むと、コミュニケーションが必要になる。都市でも、企業でも同じことが言えるようだ。
僕は、大学生の頃に「シビックプライド」を知って、コミュニケーションで都市に関われるとわかり、喜んだ。組織にコミュニケーションで関われると知った今、やはりワクワクする。