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「インハウスエディター」は事業や広報を理解する企業内編集者

「オウンドメディア」という言葉もすっかり浸透した。僕がフリーランスになった2011年当時にはまだ言葉として浸透していなかったが、ビジネスの現場では大抵通じるようになった。

「オウンドメディア」への注目が高まり、取り組もうとする企業が増えるにつれて、ライターや編集者の仕事も増加している。オウンドメディアに寄稿する、運営を行うといった仕事も珍しくない。

僕も、色んなオウンドメディアに関わってきたし、話を耳にしてきた。昨年末頃から持ち始めたのは、オウンドメディアはいつまでこの勢いが続くのかという問いだ。

外部からオウンドメディアの運営に関わっていて抱くようになったのは「アウトソースする領域が広すぎるのではないか」という疑問だった。メディアを運営するプロセスでは、様々な価値が蓄積される(ただし、KPIにはしにくい)

取材活動を行うことで他者との関係づくりも可能が可能になり、ユーザーコミュニティとのつながりを生むことも可能だ。企業によっては、潜在的な顧客やステークホルダーに取材し、関係構築とコンテンツづくりをセットで行うケースもある。

メディアの運営を通じて直接的な売上以外の価値も得られる。だが、運営プロセスの大部分をアウトソースし過ぎてしまうと、中にナレッジが蓄積されない。アウトソースすると、それだけスピード感もなくなる。内製化できることは、内製化したほうがいいのではないか、そう考えていた。

初めて「インハウスエディター」という役割について書いたのは、約1年前だ。僕が抱えていた疑問を解消し、編集者にとっての新たな活躍の場となるものだと注目した。

「インハウスエディター」という働き方

インハウスエディターという役割はすでに事例も生まれ始めている。サイボウズが立ち上げた『サイボウズ式』、BAKEが立ち上げた『BAKE Magazine』、Sansanが立ち上げた『Business Network Lab』、メルカリが立ち上げた『mercan』等だ。今年、いくつかの事例をferretの連載枠でも取材させてもらった。

メディアの目的に最適な組織とコンテンツを設計。メルカリ「mercan」は何が優れているのか
編集力の内製化は企業の強み。BAKEを支える3人のインハウスエディター

共通して語られていたのは、組織や事業への理解、採用やプレスリリースなど広報的な視点を理解しながらコンテンツづくりを行うこと、内部ならではのトンマナへの理解やスピード感を持ったコンテンツ作成などの要素。

取材させてもらった企業では成果も出ており、組織内でもポジションを確立している印象を受けた。今後、インハウスで編集者を雇い、企業のコンテキストを理解した上でコンテンツ作成に取り組む人々は増えるだろう。

内部が良い、外部が悪い、といった話ではないし、アウトソースがなくなるわけではない。だが、企業にとっての本質的な情報発信活動を考えるのであれば、現在アウトソースされている情報発信の一定割合は内製化されるべきだろう。

僕たちのような編集やライティングという価値を提供する企業は、今後どうこの流れに向き合っていくかを考えていかなければならない。組織や企業、事業、広報への理解を促進させ、インハウスエディターとどう協働するのかといった視点が必要になる。

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