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「感謝経済」のためにコミュニティテックのムーブメントを--KOU story vol.5

『KOU』プロダクトオーナーの中村 真広さんに話を伺いつつ、サービスのストーリーを伝えていく「KOU Story」。

前回は、地域通貨をデジタル化することにより、コミュニティの状態を可視化でき、よりよいコミュニティを社会に増やせるようになる、という「KOU」の目指すストーリーを紹介しました。

今回は、KOUが挑戦する「感謝経済」の構築、そのために必要な「コミュニティテック」について話を伺っていきます。

目次
「感謝経済」という新しいシステム
お金のバランスを取り戻す
「コミュニティ・企業・国家」のバランスを整える

「感謝経済」という新しいシステム

ーー「KOU」を構想するにあたって、ヒントになったものは地域通貨以外に何かありました?

ちょうどサービス案を考えているときに観た『台北カフェ・ストーリー』という映画は参考になりました。姉妹が物々交換ができるカフェを運営する話で、最初から物々交換をするカフェではなかったんです。

お店をオープンするにあたって、友人たちが贈ってくれた雑貨があった。あるお客さんが、「この雑貨がいいから売ってくれない?」と尋ねるんです。そしたら、その姉妹は「売り物じゃないからあなたの大事なものと交換しましょう」と答える。

そこから物々交換カフェとして運営されていくのですが、映画に登場する旅人は何も持ってないから歌を贈り、姉妹は感動したから歌とモノを交換する、なんて場面もあります。モノの価値を人の心が決める。値札もなくて、受け取り手側の気持ちだけ。

こういう考え方は素敵だと思いました。

ーーその話を聞いていると「交換経済」に近いものを感じますね。

そうですね。ただ、「モノの価値を人の心が決める」というのがいいなと思いました。また「交換経済」よりも原始的と言われる「贈与経済」は与える側が主語ですが、僕たちが描く理想の状態では受け取る側が主語になります。何かを贈与したとは思っていなかったけれど、それが誰かにとって価値になっていることもある。勝手に感謝されている状態ですね。

受け取る側が勝手にGiveされたものに感謝している、贈与する側からじゃなくて、感謝する側から始まる、そんな経済がいいなと考えていて。KOUでは、感謝が基本となる「感謝経済」をキーワードに考えています。

お金のバランスを取り戻す

ーーKOUは、「感謝」をベースとしたコミュニティをつくるためのツールというわけですね。

そうですね。このことを考える上で参考になったのがバックミンスター・フラーの著書『宇宙船地球号操縦マニュアル』です。彼はこの著書の中で、地球は太陽から与えられた資源の中で生きていかなければならない、と語っています。

バックミンスター・フラーが語るように地球の資源は限られているから、その上限を超えない社会システムをつくることが大事。現在のように限りある資源を超えた経済成長と延々に増殖するマネーがあると、金融資本主義にのまれてしまい、いずれ地球の資源を食いつぶしてしまうかもしれない。その代替となる社会システムがまだ見いだせていないことへの危機感も抱いています。

だから、金融資本主義じゃない、マネーゲームじゃない仕組みが必要で。たとえば、ストックとしての価値が増えるのではなくて、フローとして価値が循環するシステムもあってもいいんじゃないか、なんてことを考えています。

ーー代替となるシステムがKOUになる?

そうですね、一端を担えればと思っています。KOUは人の心が生み出す感謝が価値として循環するようなシステムにしたいと考えています。

バックミンスター・フラーは、もし物理法則などを越えて、増え続けるものがあるとしたら、それは知恵や徳だということも語っていて。確かに、心の動きほど自由なものはありません。感謝を生み出すのに、エネルギーも原価もかからないわけですから。先ほどのような地球の資源の上限を超えない社会システムとして、僕は感謝や徳が循環していくことを価値とする社会を作らないといけないと考えたんです。

ただ、新しい経済システムは僕たちだけで作れるようなものではありません。この先、KOUのような思想のツールはいろいろと生まれてくるはず。新しい価値のモノサシが生まれれば、既存の貨幣の価値も見直すきっかけが増え、現代人にとっての「お金のリハビリテーション」にもなる。

オルタナティブなシステムが増えれば、感謝経済のような新しい社会システムが誕生するかもしれません。

「コミュニティ・企業・国家」のバランスを整える

ーーKOUを通じて「感謝経済」を広め、お金のリハビリをしていくことで中村さんが目指しているのはどんなことなのでしょう。

僕は、コミュニティの復権によるオルタナティブな資本主義の構築がしたいんです。

現代はいろんなコミュニティが立ち上がってきています。コミュニティを運営するためのツールも増えてきている。

ツールが増えれば、自己組織的にコミュニティをつくり、その中のルールを独自に制定できるようになります。これが本来、普通の姿なんじゃないでしょうか。

ーーコミュニティの復権が行われると、どんな変化がおこるのでしょうか。

例えば、かつては福祉的なものもコミュニティが担っていました。それが、国家が担うようになり、小さな国家にシフトしていくことよって担い手は民間に移り、すべてがサービスへと変わってきています。

サービス化し、経済活動に取り込まれてしまうと、どうしても貨幣経済的に豊かでない人はサービスを受けることが難しくなってしまう。

そうなれば、持つものと持たざる者の格差は広がるばかりです。僕は、もっとコミュニティにできることがあると考えています。かつて、コミュニティが担っていたことを感謝経済というキーワードのもとで取り戻しつつ、民間サービスに頼りすぎている状態を解消する。コミュニティが復権することにより、国や企業とのバランスがとれるようになる。

そのためには、テクノロジーを用いてコミュニティをエンパワメントする「コミュニティテック」が必要なんです。KOUだけに限らず、多くのプレイヤーと共にムーブメントを起こしていきます。

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KOUがどのように生まれ、この先何を目指すのかを今後複数回に渡って紹介してきました。KOUのサービスストーリーについては、こちらのマガジンからまとめて読むことができます。

↓KOUのアプリダウンロードはこちらから。


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編集者。inquireの代表やNPO法人soarの副代表、IDENTITYの共同創業者です。noteでは企画、編集、メディア、経営等について書いていきます。