いま、読み直したい書籍『戦争広告代理店』
スマートフォンやSNSなどのテクノロジーによって、一人ひとりがメディアになっている時代では、情報を発信する上でも、受けとる上でも、これまで以上にリテラシーが求められます。
個人や少人数でもやりようによっては、影響力をもたらすことができるという面もありながら、悪用することがないようにしなければなりません。自覚的な悪用でなくとも、結果として加担してしまうことも起こり得る。
たとえば、誰かが仕掛けている意図的に印象を形成しようとしている情報を拡散してしまうこともありえます。特定の意見や信念を広めるために情報を操作し、感情に訴える手法は「プロパガンダ」と呼ばれます。
メディアの影響力を特定の存在だけが持っていた時代であれば、プロパガンダの担い手は限られていました。冒頭のように、個人がメディア化する時代では、一人ひとりがその加担者になる可能性も高まっていると言えます。
『戦争広告代理店』という書籍では、ユーゴスラビアから独立したボスニア・ヘルツェゴビナで1992年から1995年まで続いた内戦「ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争」の裏で、いかにPR会社が情報戦を仕掛け、国際世論を味方につけるための訴求を行ったかが書かれています。
暗躍する存在のことを気にしすぎて陰謀論によってしまってもいけませんし、かといって社会に出ている情報をそのまま受け取ることにも問題があります。日々、膨大な情報にふれるなかで、バランスを持ち続けるのは大変ですが、それを怠ってしまうと、ハンナ・アーレントのいう「凡庸な悪」になってしまうかもしれません。
なかなか負荷のかかることではありますが、これをサボらずに日々意識できるようにありたいですね。
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