発想は「観察」の積み重ねから生まれる
inquireではゲストを招いての勉強会を実施していて、最近では長谷川リョーくんのチームと一緒に、プランナーの人から「インサイト」の掴み方やコンテンツへの落とし方について学ぶ機会がありました。
勉強会の中で「インサイトを見つけるためには、日常から何かしら新しい発見のある事実を自分なりに見つけていく必要がある」という話がありました。
デプスインタビューやフォーカスグループインタビューなど、ユーザーインタビューを通じてインサイトを掴むこともありますが、そのインタビューに取り組む際の仮説を構築するために、日常生活の中で色んなユニークな事実を見つけておく必要があります。
日常生活の中で、発見をしていくためには、観察眼を磨いていかなければなりません。普段、気にも留めないような事柄に興味を持ち、「なんでこうなったんだろう?」と考えることは物事を様々な角度から捉え、発想を広げてくれます。
21_21 DESIGN SIGHT「単位展」のコンセプトリサーチ、21_21 DESIGN SIGHT「アスリート展」の展示ディレクターを担当された菅俊一さんの著書『観察の練習』では、日常の中で見つけた疑問や発見がまとめられています。
『観察の練習』を読んでいると、いかに見過ごしている事象が日常に潜んでいるか、「なぜか気になった」という自分の状態を深ぼることで新たな問いを見つけられるということが伝わってきます。
「こんな見方もあるのか」と、観察や視点の持ち方で驚きを受けたのは、学生時代に読んだ、『モノサシに目印』でした。
現在は、W+K TOKYOのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターを務めている長谷川踏太さんが『Web Designing』で連載していた記事をまとめて書籍化したもの。
特に、メディアやコトバに焦点を当てた内容ではありましたが、事象をどう見ると面白いのか。視点をどう持つべきなのかが非常に勉強になった一冊です。
IDEOのヒューマン・ファクターの専門家であるジェーン・フルトン・スーリさんの著書『考えなしの行動?』も観察の面白さを教えてくれた1冊です。
街中で遭遇する様々な光景に対して、「これは誰がどんな意図で行ったことなのだろう?」と考えをめぐらしていく。
どこにでもあるシーンを題材として、観察眼のあるデザイナーがどのように日常を見ているのかが体感できる一冊です。
なんとなく日常を過ごしてしまうのではなく、観察を意識し、事象に対する想像を巡らし、仮説を構築するプロセスを繰り返すこと。それが発想力を磨くことにつながります。
「観察」は、広告クリエイティブの文脈やデザインの文脈で語られることが多いですが、編集やライティングにおいても観察が重要であることは間違いありません。日常の観察に気を配ろうと思い直す良い機会になりました。