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哲学、パラドックス、システムを思考する
日本で哲学コンサルティングを提供しているクロス・フィロソフィーズ株式会社代表の著者による『哲学思考』を読みました。
以前の『哲学シンキング』と比べると、より哲学をビジネスにどう活きるのかに焦点をあてた内容でした。
『哲学思考』では、非合理なことも視野に入れた上で「なぜ」を問うこと、倫理的にジレンマが生じる場面で「どうすべきか」を問うことなど、ビジネスにおいて重要度が増している事象に対して、哲学的に思考することが有用であると述べられています。
個人的には以下の内容は共感でした。同じ言葉を使っているように見えても、一人ひとりが言葉に対して持っている意味が異なっていることは多い。コンセプトやビジョンなどを考える際には、言葉の意味について問い、対話することは非常に重要です。
哲学シンキングは「言葉」を重視します。 例えば、商品開発・サービス設計であれ、組織開発であれ、関与者が同じ言葉を使っていても、実際にはその意味することが異なっていることがあります。 先述した「愛」や「幸せ」に限らず、普段の会議でもなんとなく理解したつもりになっているだけで通り過ぎていく言葉がないでしょうか。 組織やプロジェクトチームで共通のビジョンやコンセプトをもつことができたり、普段は問わないような深い部分まで考えを共有したりすることで、強いチームビルディングが達成されます。
哲学思考のステップを表現したのはこちらの内容。こうしてシンプルに表現すると既存の思考法等でも触れられている内容に感じられます。
哲学シンキングは大きく分けて、次の4つのステップからなります。
ステップ 1 問いを立てる
ステップ 2 問いを整理する
ステップ 3 議論を組み立て、視点を変える
ステップ 4 核心的・革新的な問いや本質を発見する
全く新しい思考法などは存在しません。ただ、重要なテーマに対して思考し、実践するためのレンズが多々あり、試行錯誤しながら扱えるようにしていくことが求められている。哲学思考のなかで触れられていることは、実践を重ねる上で大切な観点が含まれていると感じました。
この本だけに限らず、最近はどんな思考法やアプローチが提示されているかを知ることは、事象や課題に対して向き合うためのヒントを得られ、全体像を整理するうえで役立ちます。
例えば、ジレンマにどう向き合うのかは、『両立思考』で触れられてることと隣接しますし、複雑でやっかいな問題をどう捉えていくかは「システム思考」などに隣接します。
これらの思考法を単一で用いて解決できる課題はなく、組み合わせて活用していくことになります。自分の引き出しに考え方や枠組みが複数入っていると、全体と部分を認識しやすくなり、解決のアプローチも考えやすくなるはず。最近注目されているアプローチはキャッチアップしながら、うまく組み合わせていきたいですね。
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