映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』
サイコスリラー映画『ジョーカー』の続編、『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を観てきました。前作の『ジョーカー』は、大きな話題になって、社会現象を巻き起こしたとも言われている作品です。
前作では、コメディアンを夢見る道化師のアーサー・フレックが、派遣ピエロとしてわずかな金を稼ぎながら、年老いた母親ペニーと生活を送るなかで、どのように「ジョーカー」となっていったのかが描かれていました。
今作の評判は今のところあまり良くはありませんが、個人的には前作と同様に良い作品だったと思います。前作と比較すると、歌い出すシーンなども頻繁に登場しますが、どのような妄想をしているかの表現や、妄想が現実に表出しているときの表現として観ることができる場面だったので、個人的には違和感もありませんでした。
前作は「自分を知る」がテーマだと受け取りましたが、今作は「他者との関係」がテーマになっているように感じました。アーサーとジョーカー、どちらに当てはめてわかりやすくしようとする周囲に対して、アーサーは「本当の自分を理解してもらえていない」と感じるわけですが、複雑な本当の自分を他者に理解し、受け入れてもらうのは難しいこと。
周囲が自分に期待する自分を演じることは、本当の自分を見てもらえているとはいえない。かといって複雑で多面的な自己を周囲に知ってもらうには、時間をかけて丁寧に対話していかなければいけませんが、アーサーにはそれも難しい。劇中でその葛藤が描かれ、この世界観におけるジョーカーのラストにつながっていきます。
それにしても、ジョーカー役を演じるホアキン・フェニックスは最近の作品の『カモン カモン』『ボーはおそれている』『ナポレオン』など、すべてかなり違う印象を与えるキャラクターを演じていて、毎回驚かされます。今回のジョーカー役もかなり惹き込まれました。
裁判の検事としてハービー・デントが登場するのもバットマン作品好きとしてはちょっとうれしいポイント。
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