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原稿をプロトタイピングする

プロトタイピングは、何かを作るときに「いきなり完璧なものを目指すのではなく、まずはざっくりした形を作ってみて、それをもとに修正や改善を重ねていこう」というアプローチです。

プロトタイプをつくることで、出来上がりのイメージがつかみやすくなったり、見落としていたポイントが早い段階で見つかったりします。関係者の認識を揃えながら、改善をどんどん行っていくために、プロトタイプを作ることは重要です。

ビジネスにおけるライティングを実施する際にも同様に「プロトタイピング」は重要だと考えています。事前に要件や構成をすり合わせたとしても、具体的にライティングを進めていき、アウトプットイメージが具体化していく課程で、改善したいポイントや変更したいポイントが出てくることは珍しくありません。

だからこそ、ライティングにも「プロトタイプ」の段階を設け、プロトタイプから手直しを繰り返していくことで、認識をすり合わせながら最終的なアウトプットに近づいていくことができます。

ただ、アウトラインがプロトタイプとして活用できるとよいですが、アウトラインからどれだけ完成形をイメージできるかには個人差があります。そのため、アウトラインから書き進めた状態をプロトタイプとして扱うことが望ましいと考えています。

最初に原稿としてまとめた状態は、「初稿」と呼ばれます。この段階をプロトタイプとして位置づけられるといいですが、原稿は初稿の段階で完成度を求めてきた積み重ねもあり、人も完成度を求めて初稿をチェックする傾向があります。そうすると、つくる側も心理的ハードルをあげてしまい、なかなかスピーディに形にするというプロトタイピングのように進めることができなくなってしまいます。

初稿に対するハードルを下げ、プロトタイプとして位置づけて早めに形にして共有する。そうすることで、早い段階でフィードバックをもらいやすくなり、考えがズレていないかや、足りない情報がないかを確認できます。また、全体の構成を見直したり、論理の流れがちゃんとつながっているかどうかもチェックしやすくなります。フィードバックを踏まえて原稿をブラッシュアップできるようになります。

つくり手が初稿をプロトタイプとして認識して作成を進めること。プロトタイプとして関係者に共有し、フィードバックをもらうこと。自分と他者における「初稿」の認識を変えながら、作成のプロセスを変えていく必要がありますが、ライティングプロセスを変えていける可能性があると考えていて、どうしたらより効率よくこのプロセスを実行していけるかというのは個人的な関心のひとつです。

ペアライティングなどの取り組み方と組み合わせて取り入れてみると、プロセスの新しい可能性がひらけるかもしれません。


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