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BtoB領域におけるコンテンツの役割

インクワイアでは、コンテンツの戦略立案やディレクション、マネジメントなどのサポートを行っています。特に、BtoBにおけるコンテンツづくりが多く、今回はBtoB領域におけるコンテンツの価値について書いてみます。

BtoBと一口に表現しても、ビジネスは多様です。インクワイアが支援するのはSaaSをはじめとするソフトウェアや、いまはまだ形になっていない新しいテクノロジーやソリューションなどに関するコンテンツづくりです。

こうしたビジネスは、扱う商材が物理的に存在せず、触れることができないものも多い。商材の価値を伝えにくいなかで、潜在的な顧客を獲得したり、購買の意思決定につなげたり、購買後に顧客が商材をうまく活用しやすくしたり、といったことのためにコンテンツをデザインします。

BtoB領域におけるコンテンツの役割を理解する上で興味深いのが、サービスに関する研究です。セオドア・レビットというマーケティングの大家は、顧客が無形物を購入する際の不安やリスクを解消するため情報を「サロゲイツ(代替品)」と呼びました。BtoBのマーケティングにおけるコンテンツの役割については、以下の記事などで高広伯彦さんが語っています。

サロゲイツはソフトウェアに限らず、旅行のパンフレットや美容室のヘアカタログなど、従来のサービス産業においても重要な役割を担ってきたもの。私たちは、手に取ることができない無形のものであるにも関わらず、どのような価値が得られるのかをサロゲイツから受け取っている。

BtoBの領域において、コンテンツはサロゲイツとしての役割を果たします。事例紹介や、開発者のストーリー、機能紹介など、サービスやソフトウェア、テクノロジーの価値を伝えるためのコンテンツがサロゲイツとして機能する。

特に、新規性の高いサービスやテクノロジーは、なかなか顧客に価値が伝わりにくいものです。具体的なユースケースや、利用することによってどのような価値が生まれるかをストーリーで伝えるなど、コンテンツをサロゲイツとして機能させるために工夫できるところは多々あるはずです。

BtoBの領域におけるコンテンツの価値は、「無形性」への対応に留まりません。ソートリーダーシップやブランドジャーナリズムなど、企業としての「信頼」を獲得するための役割を担うこともあれば、コンテンツ自体が商品の価値を説明するセールスの補助的な役割も担うこともあります。

継続して利用するようなソフトウェアやサービスであれば、サポートサイトを充実させ、顧客の利活用をサポートする役割をコンテンツが担うこともあります。こうした側面はまだ一部の業態に限定して見られる傾向ですが、モノを売って終わりの状態から、サービス化が進行しているなかで、今後さまざまなビジネスが対応を求められるようになるはずです。

そして、こうしたサポートサイトのコンテンツと、ナレッジは表裏となっており、合わせてどうマネジメントしていくかを考えていかなければなりません。

コンテンツを出して、反応を見ることで顧客の理解を深めていくという役割を担うこともあります。デザインリサーチの領域では、近年制作を通して問題の所在を明らかにし、解決案を模索する「Research through Design」という概念が注目を集めています。

コンテンツもこうした動きからヒントが得られる部分があると考えており、「リサーチ・スルー・コンテンツ」または「リサーチ・スルー・メディア」のような手法の可能性があります。インフォバーンさんは「デザイン・スルー・メディア」という名称にて概念を提唱しています。

BtoB領域におけるコンテンツの役割について、ポテンシャルも込みで雑多に書いてきました。まとめてみると、BtoBの領域におけるコンテンツの役割は、以下のようなものが考えられます。

  1. 商材の無形性に対応する「代替品」として機能するコンテンツ

  2. 企業としての哲学や姿勢、技術などを伝え、信頼を獲得するコンテンツ

  3. サービス化による顧客の継続利用を補助するサポートコンテンツ

  4. 企業のナレッジを蓄積し、アクセスしやすくするためのコンテンツ

  5. 創りながら顧客の理解を促進するためのコンテンツ

これらの可能性を模索しながら、学び、実践し、さまざまなBtoB企業を支援していけたらと考えています。コンテンツづくりについてご相談がある場合は、以下よりご相談ください。

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