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映画『キノ・ライカ 小さな町の映画館』

フィンランドのヘルシンキから1時間ほど離れた場所にカルッキラという町があります。長らく鉄鋼の町として続いてきたここで、今は使われなくなった鋳物工場を活用して、はじめての映画館「キノ・ライカ」がオープンしました。

この映画館の共同経営者であり、この町出身の映画監督であるアキ・カウリスマキをフィーチャーした初めてのドキュメンタリー映画が上映されているということで、ユーロスペースに観に行ってきました。

小さな町の映画館がどのようなものなのかを観たいと考えていたのですが、カルッキラはどんな街なのか、どんな人達がどのような思いで暮らしているのか、「キノ・ライカ」をつくるのにどう関わっているのかなど、映画館を取り巻く町の様子にふれるような作品でした。

本作品の監督を務めたヴェリコ・ヴィダクは、家族を連れてカルッキラに1年間滞在し、本作の撮影に挑んだそうです。それによって住民とも関係を築くことができ、作品にも登場してもらえているのだとか。

作中に、ゴダールの映画とはなにか?に対する回答である「映画は芸術と生活の間におけるもの」という言葉を引用しながら、「映画館とはなにか」ということを問いかけるシーンがありました。ただ、映画を上映する場所ではなく、人々の交流や対話が生まれるような場所なのではないか、と。

作中で描かれている「キノ・ライカ」の様子は、映画を観るというだけでなく、地域住民の交流や様々な文化体験ができる、コミュニティセンターのようでした。日本においても、こうした場所の必要性は年々高まっているように感じられます。

本作は、自分が普段訪れている映画館を、いかに映画を観るためだけの場所として捉えているかを振り返る良い機会になりました。


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モリジュンヤ
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