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「真実」という不確かなもの

2023年のカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した映画『落下の解剖学』を観ました。あらすじはこんな感じの作品。

人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。
はじめは事故と思われたが、
次第にベストセラー作家である
妻サンドラに殺人容疑が向けられる。
現場に居合わせたのは、
視覚障がいのある11歳の息子だけ。
証人や検事により、夫婦の秘密や嘘が暴露され、
登場人物の数だけ<真実>が現れるが──。

映画『落下の解剖学』公式サイト

前情報ほとんどなしで観に行ったのですが、最後まで飽きることなく作品に惹き込まれていました。

人は世界をそのまま認識できるわけではないので、「真実」とはなにかを明確にするのは非常に困難ですよね。事象があり、その事象をどう観測したか、それをどう解釈したか、どう記憶したか、解釈や記憶を他者にどう伝えたか。同じ事象に触れたとしても、解釈や記憶が異なっていることがほとんどですし、他者にそのまま伝えているとも限りません。

それなのに、人間社会で事件性があるものに関して、真偽を判断するためには、できるだけ事実とされる情報を集めて、「証言」をする。それを最後に判決につなげる必要があります。この不確かさというか、いかに与えられる情報や印象によって、自分のレンズや感情が揺さぶられるかというのを作品を通じて体験できました。

他にも語りたいことはいろいろあるのですが、非常に考えがいのある良い映画でした。気になる方はぜひ。


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モリジュンヤ
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