「真実」という不確かなもの
2023年のカンヌ国際映画祭でパルムドール賞を受賞した映画『落下の解剖学』を観ました。あらすじはこんな感じの作品。
前情報ほとんどなしで観に行ったのですが、最後まで飽きることなく作品に惹き込まれていました。
人は世界をそのまま認識できるわけではないので、「真実」とはなにかを明確にするのは非常に困難ですよね。事象があり、その事象をどう観測したか、それをどう解釈したか、どう記憶したか、解釈や記憶を他者にどう伝えたか。同じ事象に触れたとしても、解釈や記憶が異なっていることがほとんどですし、他者にそのまま伝えているとも限りません。
それなのに、人間社会で事件性があるものに関して、真偽を判断するためには、できるだけ事実とされる情報を集めて、「証言」をする。それを最後に判決につなげる必要があります。この不確かさというか、いかに与えられる情報や印象によって、自分のレンズや感情が揺さぶられるかというのを作品を通じて体験できました。
他にも語りたいことはいろいろあるのですが、非常に考えがいのある良い映画でした。気になる方はぜひ。
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