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「プルーラリティ(Plurality)」は、社会で「共に存在すること」を可能にする土台

現代社会では「多様性」という言葉が使われますが、その背景にある重要な概念の一つに「プルーラリティ(Plurality)」があります。この言葉は「複数性」「多様性」「共存」といった意味を持ち、異なる背景や価値観を持つ人々が、互いを認め合いながら共存する社会の在り方を表しています。

プルーラリティとは

プルーラリティという概念の背景には、20世紀に活躍した哲学者ハンナ・アーレントの思想があります。アーレントの考え方では、プルーラリティは単なる「違い」ではなく、私たちが社会で「共に存在すること」を可能にする土台だとしています。

プルーラリティとは、単に「多様である」という状態を指すだけでなく、異なる存在や意見がそれぞれの価値を持ちながら、共に存在し、互いを尊重する状態を意味します。たとえば、文化、宗教、ジェンダー、価値観、意見など、あらゆる面での違いが含まれます。

プルーラリティという言葉は、政治学や社会学、哲学の分野で特に注目されていますが、日常生活やビジネス、コミュニティづくりにおいても重要な考え方です。

多元共生を目指す

先日開催された「Plurality Tokyo」、残念ながら参加できなかったのですが、大変ありがたいことに台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン氏のキーノートセッションが翻訳付きでアップされました。

タン氏は、デジタル技術を用いて、民主主義に欠かせない「Plurality(複数性)」を担保する活動を進めています。

Pluralityの定番の訳語は「複数性」。プルーラリティは、シンギュラリティ(単一特異点)に対する「多元共生」を目指す動きでもあります。

これはイノベーションの文脈でも注目の概念で、一般社団法人FCAJは「プルーラルセクター (多様なセクターを繋ぐ融合の場)」を提唱しています。

経営学者のヘンリー・ミーツバーグは、資本主義と社会主義の二項対立から脱するためには、企業でも政府でもない「第三の柱」、言い換えれば「政府や投資家に所有されていないすべての団体」によるセクターが力をもつ必要があると述べており、プルーラルセクターはその融合を担う役割と言えそうです。

パブリックセクター、ビジネスセクター、市民セクター。それぞれ単体では変革できない課題に取り組んでいくために、プルーラリティについて考え、実践していく必要がありますね。



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モリジュンヤ
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