穏やかな会社「カームカンパニー」というコンセプト

小さなチーム、大きな仕事 働き方の新しいスタンダード』や『強いチームはオフィスを捨てる』など、時代の先を行くコンセプトを提唱してきたユニークな会社Basecamp。僕は彼らが提唱するコンセプトに惹かれてきた。

同社はプロジェクト管理ツールを開発しており、50人ほどの規模で世界に10万社以上が利用するプロダクトを提供している。チームは世界各地に散らばっていて、一箇所にまとまっていない。

2019年、彼らが主張するのは「穏やか」に働くというものだ。新しい書籍の中で提唱したのが「カームカンパニー」というコンセプトだった。

読んでいて面白いと思った主張の一部を抜粋。

・会社はひとつの製品であり、バージョンアップさせていくべき。
・目標は作らない。目標があるとモラルや誠実さや健全性が失われるのこともある。携帯電話の解約が難しくなっているのは、携帯会社の目標のせい。
・1週間で40時間働けば充分。短いと感じるのであれば時間をまとめるか、すべきことを厳選する。
・会社が守るべき一番価値のあるものは従業員の時間と集中力。分割された1時間というのは1時間より価値がない。まとまった時間がとれるようにすべき。
・本気で仕事をかたずけたいときに職場を選ばない人が多いのはなぜか。職場には注意をそらすものが溢れすぎている。
・オフィスは「図書館」のような場所にするべき。誰もが静かに集中するという前提が共有された空間。
・大学のような開講時間(オフィスアワー)を作った。社内のエキスパートに相談できる時間の枠を決めた。
・他人の時間を借りるための作業は面倒であるべき。シェアできる仕事用のカレンダーは、昨今の発明の中で、もっとも有害。カレンダーテトリスになって潰れる。
・返事はゆっくり待て。回答はすぐ来るのではなく、そのうち届くものだという文化を作る。ほとんどのメッセージは緊急ではない。
・いい会社は家族になろうとしない。家族のサポーターで、家族の味方であろうとする。
・仕事中毒は伝染病。
・オーナーの言葉は一トンくらい重い。組織のリーダーとして、ほかのみんなにアイデアを投げかけない強い自制心が必要。
・人材争奪戦はむし。即戦力もいない。育てることを考える。
・履歴書ではなく仕事を見よう

オフィスの使い方、集中力をどう高めるか、チャットコミュニケーションの弊害をどうなくすか、スタートアップとは異なる会社のあり方をどう模索するか、メンバーの働きすぎをどう防ぐか、などなど、気になっていたことのヒントが書かれていた。

僕たちのような起業はしているが、スタートアップではない会社は、イグジットがない。長く続ける前提で組織をデザインしていかなければならないが、現代は選択肢も多く、ファスト化の圧力が働き、常時接続の時代だ。人が疲弊しやすい環境で、疲弊しないための仕組みを考えないといけない。

強いプロダクトがある会社だから、これをそのまま踏襲するのは難しいかもしれないが、「穏やかな会社」というイメージはしっくりきた。彼らが自分たちの会社をプロダクトとしてアップデートし続けてきたように、自社もアップデートし続けていきたい。

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モリジュンヤ / inquire

編集者、inquire Inc代表。NPO法人soar副代表、IDENTITY共同創業者。 noteでは、編集やライティング、メディアやビジネスなどについて書いてます。

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