新たなコンテンツ開発手法の確立への試行錯誤
書籍「リモートチームでうまくいく」などを出版されているソフトウェア開発会社ソニックガーデンさんは、「納品のない受託開発」というコンセプトを提唱したことでも知られています。
納品のない受託開発について詳しくは、ソニックガーデンさんのサイトを観ていただけたらと思いますが、月額定額や仕様の変更や優先順位の変更に柔軟に対応するなど、「納品」によって発生していた構造的な課題を突破しようとアプローチされています。
デザインファームのroot代表の西村さんが伴走型のクライアントワークについてのnoteを書かれてましたが、クライアントワークのあり方も変化してきています。よりパートナーシップに近く、より柔軟で長期的な関係になってきている。
こうした変化は僕たちのビジネスにも現れています。伴走型のクライアントワークのあり方については西村さんのnoteに解説をおまかせするとして、今回はコンテンツ開発において、inquireが挑戦しようとしていることについて紹介したいと思います。
ソニックガーデンさんはエンジニアリングで、rootさんはデザイン。僕らはコンテンツを仕事にしています。ジャンルや提供価値は異なりますが、仕事の構造に起きている変化は共通している点がいくつかあります。その背景には、以下のような変化があると考えています。
・環境変化の速度が早い
・何を作るべきかの判断が難しい
・より事業との連携が必要
変化が早いので、数ヶ月前の計画段階で描いていた未来と訪れる未来が変わるなんてことは全く珍しくありません。外部環境の変化はもちろん、社内における変化もスピードが上がっています。
そうすると、何を作るべきかということを判断する難易度も上がります。正確な未来予測ができたら苦労はしないので、小さくやってみて試しながら確度を上げていくアジャイルな進め方が求められるようになってきている。
そして、取り組むことが事業につながっていることが必要になっています。「当たり前やんけ」という方もいるかもしれませんが、従来の受発注のあり方だとこれが実は難しかったんじゃないかと思っています。以前、FastGrowという媒体の取材でビジョナルCTOの竹内さんにインタビューする機会がありました。
このインタビューの中で竹内さんは、「『どこにたどり着きたいのか』という目標が違う人たちと事業をつくると、ボタンの掛け違いが起こりやすくなりますから」とおっしゃっていました。これは社内の目的意識を統一し、モノリシック(一枚岩として統制された)」な構造にするためにどうするか?という話の文脈で出てきた言葉です。
なので、受発注における話とは異なるのですが、参考になることは大いにあるなと。人は構造、アーキテクチャの影響を強く受けます。事業成長に貢献するつもりで外部から関わっていたとしても、構造がそうなっていなかったら徹底しにくくなってしまう。納品ベースの従来の仕事の構造は、そうなっていたのだと思います。
常に社内にスペシャリティを持った人材を抱えておくことも難しいですが、都度外部に発注する際に都度目的を共有し、目線を揃え、同じ方向を向いて仕事を進めていくというのもなかなかコミュニケーションコストなどの面でハードルが高い。こうした状況を打破するための動きがあちこちで生まれているのだと思います。
こうした環境変化はコンテンツ開発においても起きています。なので、inquireとしては走っているプロジェクトで新しいコンテンツ開発のアプローチはできないかと試行錯誤を重ねています。例えば、取り組んでいる要素は以下のようなもの。
・月額定額
・ビジネスの成長に貢献
・開発と運用を分けない
・変化に柔軟に対応
・アジャイルなコンテンツ開発
月額定額にすることで、納品の本数にとらわれず、事業の成長に必要なことはなにか?を一緒に考え、そのためにコンテンツでできることに取り組みやすくなります。
一定期間ごとにフォーカスを決めて、「今、何に取り組むべきか?」ということを決めた上で、コンテンツにできることに取り組み、仕様や優先順位等の変更にも柔軟に対応できるようにしたり。
また、作るだけでなくその後のメンテナンスや生産プロセス自体を整えるなどの運用にもコミットできるような体制をつくろうとしています。プロセスデザインやワークフローづくりは、コンテンツ開発の内製化にも関連してくる領域です。
デザインやエンジニアリングであれば、いきなり完成物を出すということはありませんが、コンテンツ開発においては完成物に至るまでのステップがほとんどないケースもあります。それがかえって生産性を落としているのでは?と考えていて、コンテンツ開発においてもモックやプロトタイプなどのステップを作り、双方向のやり取りを増やしてアウトプットに至るまでのプロセスを変えるトライも行っています。
コンテンツを通じて事業や組織の成長に貢献していくためには、コンテンツ開発の手法自体もアップデートしていく動きが欠かせません。クライアントに伴走しながら、トライアンドエラーを重ねていけるようなコンテンツ開発のあり方が今後さらに必要になるのではと考えています。
まだまだ、試行錯誤を重ねているところですが、今後も手法をアップデートするための取り組みは進めていきたいと思います。inquireでは、コンテンツだけでなく、こうしたコンテンツ開発の手法自体も一緒に作っていくことにワクワクできるエディターの人を募集しています。興味のある方はぜひWantedlyをチェックしてみてください。