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交換と贈与のモードを併用する

「ギブアンドテイクが大事」なんて言葉はあちこちで耳にする。改めて言われるまでもないって感じる人も多いかも知れないけれど、案外これが忘れられているケースも多い。

採用面接をしていたりすると「ここなら成長できると思った」「こういうことに関心があるから応募した」といった話をしていただく機会が多い。それはとてもありがたいのだけど、採用する以上会社側にも利点がないと良いマッチングは成立しない。何かをもらう対価として自分は何を提供できるのか、は常に考えておきたい。

これは「交換」の考え方だ。僕らが生きているのは資本主義の社会で、様々なものが経済化されている。それはとても便利なのだけれど、一方で失っているものもある。

松村圭一郎さんの著書『うしろめたさの人類学』では、経済的な「交換」において、「思い」や「感情」がないものとして差し引かれていると書いている。「交換」という行為において、僕たちは脱感情化している。

これまでの時代であれば、脱感情化した状態で働くことに疑問を持たなかったのかもしれない。だが、一人ひとりの個性や創造性を発揮していくべき、クリエイティブエコノミーの時代においては前提が変わってくる。

先日のエントリでも少し触れたように、これまで以上に組織も存在意義が問われるようになり、個人も組織の存在意義と自分を重ね合わせられるように内省に取り組む必要がある。

これからは、共に働く人達への共感は必要不可欠だ。であれば、脱感情化されたモードとは違う、脱経済化のモードも使えるようになる必要がある。

脱経済化されたモードといえば「贈与」だ。仕事であっても人間のコミュニケーションである以上、すべてを貨幣換算するのは難しいし、贈与だからこそ生まれるつながりもある。

ついつい、交換のモードになってしまう仕事において、贈与のモードを持つとはどういうことなのだろうか。まだ、解が見えているわけではない。けれど、そこにつながりを回復させたり、共感のあるチームへのヒントがあるのだと思う。

松村さんは著書の中で、こう語っていた。

ぼくらの身体は経済と非経済といった「きまり」に縛られている。でも、常に逸脱の可能性も開かれている。

僕は、交換と贈与のモードを併用して、新しい可能性への逸脱を目指していきたい。


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編集者。ソーシャルイノベーションと持続可能性の触媒を目指して、マネジメントやプロデュースなどしてます。 inquire Inc.代表、NPO法人soar副代表、IDENTITY共同創業など、小さな経済共同体が集まる生態系づくりを実践中。

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