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様々な人を受容する会社「ソーシャル・ファーム」

最近、「ソーシャル・ファーム」という言葉に触れる機会があり、軽く調べたのでメモがてら残しておきます。ソーシャル・ファームについては、以下のように説明されています。

「ソーシャル・ファーム」について
一般的な企業と同様に自律的な経営を行いながら、様々な理由により就労に困難を抱える方が、必要なサポートを受け、他の従業員と共に働いている社会的企業のことです。

TOKYO SOCIAL FIRM ACTION

ヨーロッパで発展する社会的企業(Social Enterprise),とりわけ労働統合型社会的企業(Work Integration SocialEnterprise: 以下 WISE)の一種に分類されているソーシャル・ファーム(Social Firm)である。

ソーシャル・ファーム(Social Firm)概念は日本で どのように受容されているのか
―スコーピング・レビューを通して―

上記の平尾昌也さんの論文によれば、ソーシャル・ファームの起源は、1970年頃に北イタリアの精神病院改革の結果として開始されたとされているそうです。(ちょっと時代が違いますが、精神病院を閉鎖したイタリアで起こった実話を基に描いたヒューマンドラマ作品『人生、ここにあり!』と通じるところもありそう?)

イタリアで始まったソーシャル・ファームは,ドイツやイギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国においてソーシャルインクルージョンの理念に基づいて広がりを見せており、ヨーロッパ諸国のソーシャル・ファームを運営して
いる団体により構成されている非政府の連合体であるSocial Firms Europe (CEFEC)は、ソーシャルファームを以下のように定義しているそうです。

  1. ソーシャル・ファームは,労働市場で障害者や労働市場で雇用されることに不利がある人々に雇用を生み出すための事業である

  2. 社会的使命を追求するために市場志向の商品やサービスを用いた事業である(収入の 50%以上は商品取引によるものであること)

  3. 従業員の多く(30%以上)は,障害者または労働市場で雇用されることに不利がある人々が雇用されていること

  4. あらゆる労働者は、生産能力に関係なく、仕事に適した市場相場の賃金または給料が支払われる

  5. 仕事の機会は、不利のある従業員と不利のない従業員の間で等しくなければならない

日本においては、ソーシャルファームの定義は以下のように説明されているので、概ね近い定義となっていそうです。

  1. 事業からの収入を主たる財源として運営していること

  2. 就労に困難を抱える方を相当数雇用していること

  3. 職場において、就労に困難を抱える方が他の従業員と共に働いていること

東京都では、「都民の就労の支援に係る施策の推進とソーシャルファームの創設の促進に関する条例」に基づき、認証基準に適合している事業所をソーシャルファームとして認証しています。合わせて、ソーシャルファームの取組の裾野を広げ、社会に根付かせていく取組「TOKYO SOCIAL FIRM ACTION」を推進しています。

ソーシャル・ファームが増えれば、従来の労働市場では働きづらかった人にとっての就労の場が増えます。また、近年は通常の企業においてもインクルーシブな職場になっていくことが求められます。そうしたなかで、ソーシャル・ファームがどのように運営されているかの知見が共有されれば、従来の会社もより多様な人が働きやすい環境へと変化していくことにつながりそうです。まだまだ自分も勉強不足なので、これから学んでいきたいところ。

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