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個人が自律し、貢献し合うコミュニティのような組織を目指して

2015年10月、inquireを立ち上げた際、現代版ギルドのような組織を作りたいと思っていた。その思いは今でも変わらない。

作りたいのは、コミュニティだ。「チーム」や「ネットワーク」とは少し違う。チームに近いコミュニティという言い方が近いかもしれない。

NPO法人ミラツク代表の西村勇也さんは、「ネットワークは人のつながり、チームは目標達成のための活動体、そして、コミュニティは互いに貢献し合う関係が元になっている」と言っている。

この考え方に照らし合わせるのであれば、inquireは目標達成のための活動体でありながら、互いに貢献し合う関係性を目指していることになる。おそらくは、目標を達成したら解散するわけではなく、新たな目標を探したりするのだろう。

さて、コミュニティは貢献が鍵ということについて考えてみたい。プロジェクトベース、タスクベースな関わり方が主となるフリーランスの集合体は、利他的な活動はなかなか発生しにくい。

BASE,Inc. CTOのえふしんさんも、1年ほど前に自身のブログで「フリーランスやリモートワークは『受け身』型になりやすい。フレキシブルな労働とは、すなわち、決して事業成長のことを考え続けることにコミットしているとは言いにくいし、そうでないことを前提として登用することが望ましい」と述べている。

2年ほどフリーランスが主体の組織を経営してみて、この点について考えさせられることは多かった。inquireとしては、自社のプロジェクトを立ち上げ、成長させていきたいと考えている。事業を成長させていきたいと考えると、事業について考え続けてもらうこと、曖昧になっている領域への貢献がどうしても必要になってくる。

これを強制することなく、選択の自由を担保した上で実現していきたいというのが僕の考えだ。わがままかもしれないが、inquireという組織を立ち上げる際に考えたことを実現するのであれば、譲れないポイントだ。難解だとは思うが、全く無謀な挑戦とも思わない。

経営学者であるカナダ・マギル大学のヘンリー・ミンツバーグ教授は「コミュニティシップ」という概念を提唱している。これは「組織は士気の高い人たちのコミュニティになったとき、最もよく機能する」との理論に基づくコンセプトだ。

いま、リーダーシップより「コミュニティシップ」が重要である

どうすれば、メンバーの一人ひとりが自らコミュニティに参画し、個を尊重しながらお互いを結びつけ協働していけるか。ホラクラシーなどフラットな組織の形態が登場してきている今、これはフリーランスの集合体でなくとも、持つべき問いとなってきている。

従来型組織マネジメントにも、こうした概念がなかったわけではない。米・インディアナ大学のデニス・オーガン教授は、「組織市民行動」という概念を提唱している。企業や団体の従業員が自分の職務の範囲外の仕事をする「役割外行動」の一種だ。

組織というコミュニティをどうマネジメントするのか。従来のマネジメントの考えを取り入れながら、コミュニティのマネジメントの視点を取り入れて運営していく必要がある。2018年は、この仮説と検証をさらに進めていきたい。

長期的に追求していきたいのは、関わるメンバーが自律的に、自由に動くことが共同体にとっての価値につながっていく状態を生み出すことだ。inquireとしては、新しい組織の考え方として登場してきた「Teal型組織」を目指していきたい。

自己組織化する組織Tealとは何者なのか?

Teal型組織とは、形上の社長などは存在しているものの、各個人が意思決定を行い、集まっているメンバーの変化に応じて役割を問い直していく自律分散型の組織だ。

現在、inquireの状態は話し合いによる合意形成を元に、 関係性、ステークホルダー全体を大事にしている、家族や仲間意識によるガバナンスをとるGreen型組織だと捉えている。

どうすれば、さらに自律した組織になっていくことができるのか。考えることは山ほどあるが、2018年も理想とする組織の状態を目指していきたい。

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