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「個人の軸」をメンテンナンスする

2016年までGoogleに在籍して人材育成と組織開発、リーダシップ開発に取り組んできたピョートル・フェリクス・グジバチ氏の新刊『ニューエリート』を読みました。

この本の中で書かれていた主張の1つが、現代のような「クリエイティブエコノミー」時代においては、個人の軸や創造性が仕事において重要になるということ。

働き方のグラデーションは鮮やかになりつつあります。起業してもいいし、スタートアップで働いてもいいし、フリーランスになってもいいし、大企業で副業しながら働いてもいい。もちろん、副業しなくてもいい。旅しながら働く、なんてスタイルも出てきています。

選択肢が増えている。これはとても良いことだと考える一方で、選ぶための個人の軸が不明瞭であったり、活動するためのモチベーションの源泉を把握できていない人も多く見受けられます。そうすると、なかなか選ぶことができない。

変化するモチベーションのOS

ただでさえ、人が仕事に求めることは変化してきています。

社会では、個人や現場の意識改革が一番必要だと考え、『ハイ・コンセプト』や『フリーエージェント時代の到来』といった書籍を著してきたダニエル・ピンク氏。彼は、著書『モチベーション3.0』の中でモチベーションのOSについて下記のように述べています。

・モチベーション1.0:「生存(サバイバル)」を目的としていた人類最初のOOS。
・モチベーション2.0:「アメとムチ」、信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。
・モチベーション3.0:自分の内面から湧き出る「やる気」に基づくOS。  

給与やインセンティブといった外発的動機ではなく、「自律性」「熟達(マスタリー)」「目的」といった内発的動機付けによって行動するのがモチベーション3.0だと、人というコンピュータを動かすためのOSが変わってきているんだ、とダニエル・ピンク氏は語っています。

仕事をしていく上でのモチベーションも変化してきており、それに対応するようにいろんなスタイルで働けるようになってきています。自分の軸や欲求と向き合い、言語化することが求められるようになってきました。

「正解」とかはないので、「自分がどうしたいのか」が大事なんですね。

「軸」のメンテナンスをする

軸やモチベーションの源泉は一度確認できたら終わりではありません。

機械のメンテンナンスのように定期的にチェックが必要です。人も、社会も、時間とともに変化するので、都度見つめ直しをしなければいけません。

「じぶん会議」のように振り返りの時間を少しずつ持つのもいいですし、日常のルーティンから外れて、別の体験をする時間を意識的に持って振り返りしやすい環境に身を置くのもいいと思います。

inquireでは1on1の面談を定期的に実施するようにしています。inquireは、フリーランスとして働いている個人が集まっている組織で、フリーランスはなかなか自身の内発的動機付けを見つめる機会がないためです。

面談の時間が、個人の軸を再確認したり、思考を深ぼってみたり、時間の射程を長めにとって考えるきっかけになればと思っています。

「目的」も「プロセス」も楽しむ

とはいえ、抽象的な思考や長期的な目的を考えることばかりに意識を取られすぎるのも問題です。

最近、面談の時間で話を聞いていて感じたのが、「何をテーマにするか」「何のために働くか」といった抽象度の高い目的についての思考に意識をとられすぎると、手段や日常を楽しむことがおろそかになりがちだということ。

ピョートル氏は『ニューエリート』の中で、仕事自体の楽しみ方について具体的に以下のように言及しています。

・アウトプットにプライドを持つ
・プロセスを楽しんでいるか

これらはモチベーション3.0的には、「熟達(マスタリー)」に関連する部分ですが、出しているアウトプットにこだわったり、目的に向かうプロセス自体を楽しめているかも大事なこと。

具体と抽象、目的とプロセスに関する思考を行ったり来たりしていくことで、個人の軸の再確認やブラッシュアップが進んでいくと思います。

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